写真とカメラ

GR &LUMIX散歩|50mm標準レンズの魅力と難しさ

2020年5月13日

 釣りはフナに始まりフナに終わる。

 釣り人は身近で入門しやすいフナで釣りを覚え、釣りに長じて磯や渓流に足を運ぶ。

 年を重ねると遠征が難しくなり、また近くの小川で、少年時代に覚えたフナ釣りに戻る。釣り人の変遷を表現した言葉だ。

 釣りの世界で広く知られたこの格言と、同じようなものが写真の世界にもある。

RICOH GRⅢ 50mmクロップ 1/1000 f8 ISO100

 50mmに始まり50mmに終わる。

 50mmとはレンズの焦点距離のことで、いわゆる標準レンズのことだ。

 カメラがフィルムだった頃、各社一眼レフのキットレンズは50mm単焦点レンズだった。50mmレンズは構造がシンプルで、軽く明るく、リーズナブルだ。写真の道を志す学生は、一眼レフと50mmレンズで学んだそうである。これを現代に置き換えると、標準ズームに始まり標準ズームに終わる、といったところだろうか。

 私は50mmが嫌いだった。

RICOH GRⅢ 50mmクロップ 1/800 f8 ISO200

 例えば広角レンズなら、遠近感の誇張効果を生かして、被写体にグッと寄れば迫力のある絵が撮れる。

 望遠レンズは背景の圧縮効果や、美しいボケ感を生かした写真が撮れる。

 単に被写体が遠いから、単に撮影場所が狭いから、という理由だけでレンズを選ぶわけでは決してなく、それぞれの画角の効果を生かしながら撮影するものだ。

 しかし、50mmレンズに特筆すべき効果はない。

LUMIX FZ-300 換算50mm 1/1600 f8 ISO400

 50mmを始め、標準域(40mm〜60mmぐらいかな)のレンズの特徴は”自然な見え方”だ。その画角は人の目の遠近感に近いと言われている。

 だから工夫なしで撮影すると、いつも見ている光景と何ら変わらない、平凡な写真ができあがるのだ。

RICOH GRⅢ 50mmクロップ 1/30 f8 ISO250

 工夫が必要という点では、私の愛機GRも同じ。GRはシャッターを押せば撮れるカメラでは——もちろん写るには写るが——ない。シャッターを押せば綺麗に撮れる、という点ではiPhoneのほうがよほど優秀であろう。

 28mm単焦点広角レンズの特性を生かすため、足でフレーミングを考えなければならい。もう1歩寄るべきだと思ったら、思い切って3歩寄ってみる。

 「君がいい写真を撮れないのは、あと半歩の踏み込みが足りないからだよ」

 これは戦争写真で世界的に名が知られるRobert Capa(ロバート・キャパ1913-1954)の言葉だ。

 GRを1ヶ月使ってみると、この言葉の意味がほんの少し分かってきた。被写体との距離をズームではなく足で調整すると、気に入った写真が撮れることが増えてきた。

RICOH GRⅢ 50mmクロップ 1/500 f8 ISO200

 こうなると50mmという画角が途端に便利に思えてくる。レンズの描写に誇張がないため、引いて撮れば広角のように、寄って撮れば望遠レンズにように切り抜けることを、頭でなく体で理解した。

 ズームができないから不便な場面も多いだろう。しかし、使いこなせば幅広く活躍するレンズであることは、間違いなさそうである。

 もう一度、レンズ交換式のカメラと50mmレンズを用意してみようか——。そう思えてきた。

 世間では、こういうのを”カメラ沼にはまった”と言うのだそうだ。

created by Rinker
パナソニック(Panasonic)
¥53,197 (2020/08/07 11:08:37時点 Amazon調べ-詳細)

関連記事

  • この記事を書いた人

Takashi

元靴メーカー勤務の職人、現在はWEBライターとしてアウトドア系メディアで執筆しています。靴業界での10年以上の経験、趣味のアウトドア経験を活かして書きます。大阪府山岳連盟「青雲会」所属・読図ナヴィゲーションスキル検定「シルバーレベル」・2018年「狩猟免許」取得・ランサーズ「認定ランサー」・フルマラソンベスト3時間29分。

\この記事はどうでしたか?/

-写真とカメラ
-

© 2020 Takashi Blog Powered by AFFINGER5