使い捨てスプーン・フォークは本当に必要か?|プラスチック・フリー生活を目指して

使い捨てスプーン

 年末の大掃除に見たくないものを見つけてしまった。見たいくないもの——であるから見なかったことにして、そのまま放置していたのだが。

 それを昨日、意を決して引きずり出してきた。
 大量にたまったプラスチック・スプーンやプラ容器に包まれた割り箸を前に嘆息し、それまでの行動を反省した。妻から「いらない使い捨てスプーンは持ち帰らないで」と釘を刺されていたのに。

 使い道がなく、ただ廃棄されるだけのプラスチック・スプーン。どうするよ、これ。

目次

 コンビニやスーパーで弁当を買うと、もれなく使い捨てのカトラリーが手渡される。こちらが特に希望しなくても、さもこれが日本の良質なサービスの一環だと言わんばかりに、弁当の内容に適した使い捨てカトラリーが当然のように付属してくる。

 しかし、使い捨てカトラリーに限って言えばこれは明らかに過剰サービスではないか。使い捨てカトラリーを当然のように手渡すなんて、受け取るなんて、もはや時代遅れも甚だしい。

プラスチック廃棄量世界2位の日本

 日本のプラスチック容器包装の人口ひとりあたりの廃棄量は、世界2位である。1位であるアメリカではかつて1日5億本ものプラスチックストローが消費されていた。
 2018年6月に発表されたUNEP(国連環境計画)の報告書『シングルユースプラスチック』によれば、プラスチック生産量(2015)を産業セクター別にみると、容器包装セクターのプラスチック生産量が最も多く、全体の36%を占めているという。
 厳密にはプラスチックストローや使い捨てのカトラリーは容器包装プラスチックには属さないが、製造にそれ相応の石油やエネルギーを消費し、プラスチック汚染を加速させ、地球温暖化の要因のひとつであることは否定できないだろう。

日本近海に漂うプラスチックごみ

 『脱プラスチックへの挑戦 著 堅達京子+NHK BS1取材班』の中でこんな話があった。

 実は試験的に回収したプラスチックごみを解析した結果、国別では日本のごみがもっとも多かった。文字が読み取れたごみの30%は日本語だったという。

引用:脱プラスチックへの挑戦 著 堅達京子+NHK BS1取材班

 これは25歳(2019年当時)の若きCEO・ボイヤン・スラット氏が率いる「NPOオーシャン・クリーンアップ」による、太平洋ごみベルトからプラスチックごみを回収するという壮大なプロジェクトでの試験結果だ。

 現在、海洋に漂うマイクロプラスチック(長さ5mm以下の微細なプラスチック)の数は、北半球が南半球より1桁多く、日本近海は南半球より2桁多いという。東日本大震災の津波の影響や、外国から海流で流れ着くプラスチックごみが日本近海に漂着する一方で、米ジョージア大は、日本できちんと処分されなかったプラスチックごみ、最大年5・7万トンが海に流出していると推計している。これは先進国として恥ずべきことではないだろうか。

 僕はこれまでこういった事実にあまりにも無知だった。登山で使えるだろうぐらいの認識で、使いもしない使い捨てカトラリーを受け取っていた。プラスチック・スプーンは丈夫で軽い。装備の軽量化に大いに貢献してくれるだろうと。ウルトラライトだと。

 しかし、何がウルトラライトだ! 

 使い捨てカトラリーは役目を終えたらただ廃棄されるだけ。汚れたプラスチックはリサイクルの軌道からはじかれる。地球に対して全然ウルトラライトじゃないじゃないか!

 僕はもう、使い捨てカトラリーを受けとるのをやめた。

使い捨てスプーン・フォークの代替品

 幸い、世の中には使い捨てカトラリーの代替品がいくらでもある。そう、愛用の箸やスプーン・フォークを携帯するなり、オフィスに備えておくなりすればいいのである。


 僕はスノーピークのチタン製カトラリーを愛用している。記憶が正しければ確か15年ほど前に購入したものだ。チタンは強靭で海水に対してさえも耐腐食性を有する。おまけに軽い。欠点らしい欠点は見当たらないが、あえていうなら価格だろう。チタンは高品質なステンレスの2倍ほど高価だ。とはいえ一生使えるだろうから、決して高い買い物ではないはずだ。

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まず使用を減らすことが大切

 リサイクル問題でよく語られるのが3R 、すなわちReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)である。その中でもっとも大切なのが、リデュース、つまり減らすことだ。日本のリサイクルの現状については『ごみ箱を新しくして、ごみの分別について改めて考えた』を参考にしてほしい。

 簡単に述べると、日本のプラスチックごみのリサイクル率は80%台とされてはいるが、その3分の2が焼却され、熱を回収しているに過ぎない。プラスチックごみの15%は中国に資源として輸出されていたが、2018年1月に中国がその輸入を禁止した。プラスチックごみの選別や洗浄に多大なコストがかかり、その際に発生する汚泥や薬品により環境が汚染されていたからだ。

 つまり、現状ではリサイクルには限界がある。リサイクルは最終手段と考え、手放す場合はまずリユース・再利用を考える。そしてやはり、そもそもの使用を減らすことが大切だと言える。

その使い捨てカトラリー、本当に必要だろうか?

 プラスチックの全てが悪ではないが、こと”使い捨て”プラスチックについては認識を改めるべきだろう。今まで当たり前のように受け取っていた使い捨てカトラリーについてほんの少し考えを巡らせるだけで、地球に貢献できる。なにせ僕たちの社会は地球環境の上に成り立っているのだから、その基盤がなければ社会活動も経済もないのである。

 もし地球環境に少しでも関心があるのなら、簡単なことから始めてみてはどうだろう。
 長く愛用できる箸やスプーンを用意する。たったこれだけのことでいいのであるから。

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