青春18きっぷの定番コースを聞かれてぱっと思い浮かぶだろうか? のんびりと電車の旅を楽しみたいと思っても、なかなか行き先が決まらないものである。
そこで、初めての人でも挑戦しやすいおすすめのコースをご紹介したい。ここでは、大阪から青春18きっぷを使って旅行をしたい人、のために、大阪発、串本温泉の1泊2日の旅をお届けする。
目次
青春18きっぷとは

青春18きっぷを利用したことがない人のために、青春18きっぷのポイントを簡単に説明しよう。
青春18きっぷとは、JR線の普通・快速列車の1日乗り放題きっぷのことである。1枚5回分が11,850円で販売され、1人1回あたりの料金は2,370円だ。
ベテランともなれば、東京〜大阪間を青春18きっぷを使い1日で移動したりする。時間はかかるが、使い方次第で大変お得なきっぷなのだ。
青春18きっぷの詳細はこちら
青春18きっぷとは? 5分で分かる基本と使い方の紹介
青春18きっぷとは、JR線で利用できる格安きっぷの1つである。1日あたり1人2,370円で利用でき、使い方によってはかなりお得に電車の旅を満喫できる。ここでは、青春18きっぷの基本的な使い方を解説する。 日本全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席及びBRT(バス高速輸送システム)ならびにJR西日本宮島フェリーに自由に乗り降りできるきっぷです。 引用:JR東海 …
大阪駅〜串本駅 乗り換えダイヤ
往路 乗り換え案内(2019年1月 休日ダイヤ)
- 09:09発 大阪 紀州路快速和歌山行き(日根野で切り離し注意)
- 10:44着 和歌山 乗り換え
- 10:48発 和歌山 きのくに線 御坊行き
- 11:48着 御坊 乗り換え
- 11:51発 御坊 きのくに線 紀伊田辺行き
- 12:51着 紀伊田辺 乗り換え
- 13:17発 紀伊田辺 きのくに線 新宮行き
- 14:49着 串本
復路 乗り換え案内(2019年1月 休日ダイヤ)
- 10:27発 串本 きのくに線 紀伊田辺行き
- 12:13着 紀伊田辺 乗り換え
- 12:16発 きのくに線 御坊行き
- 13:01着 御坊 乗り換え
- 13:03発 御坊 きのくに線 和歌山行き
- 14:10着 和歌山 乗り換え
- 14:14発 和歌山 紀州路快速 京橋行き
- 15:43着 大阪
コース概要
大阪駅を出発し、本州最南端の串本駅・串本温泉を目指すコースだ。紀伊半島の西側を半周する、海の眺望が良いコースである。通常運賃は片道4,000円だが、青春18きっぷで1人2,370円で移動できる(2019年1月現在)。所要時間は約6時間で、青春18きっぷの利用が初めてでも利用しやすいコースだろう。

大阪〜紀伊田辺はクロスシート・ボックスシートで快適に過ごせる。乗り換えが3回と一見面倒なようだが、1時間〜1時間半ごとの乗り換えで、休憩にちょうど良い。普通電車に、6時間座りっぱなしの方が、よほど疲れるにちがいない。
注意
このコースの注意点は、昼休憩がとりずらいことだ。往路では、紀伊田辺駅で約30分の乗り換え時間があるが、改札の外で昼食をとるには心もとない。また、紀伊田辺駅以外の乗り換え時間は、2〜3分とタイトであり、御坊〜紀伊田辺〜串本間は電車の本数が1〜2時間に1本と少ない。
万が一乗り遅れると大幅に予定が狂ってしまう。トイレは電車内を利用し、往路は大阪駅・復路は串本駅で、ドリンクや軽食を用意しておこう。
紀州路快速〜きのくに線紀行
大阪〜和歌山〜御坊

ダイヤ紹介では、多くの人が利用するであろう休日ダイヤを紹介したが、筆者が出かけたのは平日である。まだまだ正月気分にひたっていたい、2019年1月8日の朝だった。幸いにも天候に恵まれ絶好の旅日和である。
午前9時といえば、通勤ラッシュも落ち着き電車が空いてくる時間だ。のんびり座席に座り車窓の風景を眺める。和歌山に近づくにつれ、高層ビル群が姿を消していった。
御坊〜紀伊田辺

御坊からは、旧型のレトロな青い電車に乗り換える。目の覚めるような明るい青色ではなく、どこか深み・渋みがあるしっとりとした青色だ。
田舎で育った筆者は、通勤・通学にこのような電車に乗っていた。1時間に1本しか電車がなく、乗り遅れは即アウト。幾度も困らされたのを思いだした。
御坊からは無人駅もポツポツと現れる。駅に改札はなくバスのように車内で精算するのだが、初めての人はきっと戸惑うことだろう。
電車が進むにつれて、右手に海の香りが漂い出した。紀州路快速〜きのくに線の面白さは、車窓から見る海の景色にあるのだ。
紀伊田辺〜串本

紀伊田辺駅で約30分の乗り換え時間があり、せっかくなので改札を出てみてた。青春18きっぷは乗り降りが自由である。紀伊田辺駅前は、昭和の雰囲気が残るレトロな街並みだった。

喫茶店や(カフェではない)お土産屋、商店街が続いている。ここで昼食をとってもよかったが、30分では少し短い。大阪駅で用意した軽食で済ませることにした。
紀伊田辺を出発すると、串本まで約1時間半。ここからが、きのくに線の眺望コースだ。車窓からは太平洋が望め、眺めているだけで癒される。ずっと見ていても飽きないだろう。

途中で地元の学生達が乗ってきた。景色には目もくれずおしゃべりに夢中である。まぁ、毎日のことだから、さして珍しいものではないのだろう。しかし、大阪暮らしの筆者には特別な風景だ。彼らも大人になって地元を離れた時、初めて「宝物」に気づくのだろうな。

どうやら、紀州路快速〜きのくに線は青春18きっぷの定番コースのようだ。平日にも関わらず「青春18キッパー」と思わしき人を複数見かけた。14時49分、串本駅に到着すると、温泉宿の送迎バスが出迎えてくれた。
大江戸温泉物語 南紀串本

今回利用した宿は「大江戸温泉物語 南紀串本」だ。「串本温泉はどこがおすすめか?」迷わずここをおすすめする。
おすすめポイント

大江戸温泉物語 南紀串本は2018年春にオープンした新しいホテルだ。海のすぐそばのホテルで、全室オーシャンビュー、風呂やロビーからも太平洋が望める。目の前には紀伊大島や「橋杭岩」が広がる眺望の良いホテルだ。
橋杭岩の伝説

観光名所である「橋杭岩」には、弘法大師「空海」の紀州行脚のエピソードが残されている。空海は、平安時代初期に活躍した「真言宗」の開祖である。
ある時、弘法大師は天邪鬼(あまのじゃく)と紀伊大島に一晩で橋を掛けられるか賭けをした。天邪鬼が弘法大師の鼻を明かそうとしたのだ。しかし、弘法大師は大岩を海に放り込み、あっというまに杭ができてしまう。
慌てた天邪鬼は、ニワトリの鳴き真似をした。すると、朝と勘違いした弘法大師は、賭けに負けたと勘違いし、橋づくりを辞めてしまった。そのため、杭だけが残っている、という伝説である。
空海が活躍した平安時代は、仏教の力を借りて国を統治しようとした。そのような背景で、僧侶のもつ特別な力を示すために伝説が残されたのだろうか。
もしくは、空海やイエス・キリストは現代科学では説明できない特別な力を持っていたのか。筆者としては後者であってほしい。その方がロマンがある。
いずれにせよ、訪れる土地の歴史的背景が少しでもわかると、さらに旅行を楽しめることは間違いない。
部屋 室内風呂からも眺望を楽しめる

筆者が予約したのは和室だ。個人的には、温泉宿には畳が落ち着けて良い。波の音が聞こえてきそうな、静かな部屋である。

清掃の行き届いた綺麗な客室には、ウォーターサーバーが設置されていた。室内風呂も備えつけられ、トイレとは別だ。うれしいことに、室内風呂は南側に設置され紀伊大島や海の眺望を楽しめるのもポイントだ。
温泉

自家源泉100%の天然温泉で、露天風呂が名物である。すぐ目の前には海が広がり、紀伊大島や橋杭岩を見渡せる。早朝から営業しており、天気の良い日には本州最南端での日の出を拝めるのだ。泉質は以下の通り。
- 含硫黄・ナトリウム・カルシウム‐塩化物温泉
筋肉痛の緩和や胃腸機能の低下、ストレスに効能があるとされている。
食事

夕食・朝食ともにバイキング形式だ。
夕食

夕食時間には、365日毎日マグロの解体ショーが開催されており、解体されたマグロはその場で提供される。料理は魚介類を中心に、和洋中の創作料理が並ぶ。シーズンにはカニも食べ放題だ。プランにより、アルコール飲み放題もある。

新鮮な魚介、創作料理が食べ放題、さらにアルコールが提供されるとなれば、ついつい食べ過ぎてしまったのは言うまでもない。部屋でしばらくもん絶することとなった。
朝食

パンやベーコン、スクランブルエッグ、白ご飯やお粥など定番の朝食が並ぶ中、目玉は海鮮丼である。好きな海鮮を自由に選ぶのだ。前夜の反省をふまえ、腹八分目に抑える。
料金
全室オーシャンビュー、天然露天風呂、美味しい食事を食べ飲み放題とくれば気になるのがお値段。なんと2人で20,000円でお釣りがきたではないか! 安い、コスパが良すぎる。危うくもう1泊するところであった。
アクセス&宿泊予約
- 【住所】和歌山県東牟婁郡串本町串本2300-1
- 【電話】0570-080268
また訪れたい鉄板コース!
「大阪発、青春18きっぷのおすすめコースは?」と聞かれたら、大阪〜串本温泉コースをおすすめする。約6時間の程よいコースで、太平洋を眺めながら進む眺望の良いコースだ。適度な休憩をはさめ、初めての人にもおすすめ。記事を参考に、ぜひ出かけてみてほしい。
※記事の情報は2019年執筆時のものです。