年末DIY|素人がチャレンジしたキッチンの水漏れ修理

 大掃除の季節に入り、かねてからの懸念事項だったキッチンの水漏れ修理にとりかかった。パッキン交換なんて簡単だろう……と高をくくった僕は、その3時間後に途方に暮れることに。果たして無事に修理ができるのか。素人のDIY体験記です。

修理完了

 プライヤーを持つ左手をギュッと握り締め、ボルトの頭を傷めないよう、右手のレンチを慎重に回した。ボルトが重たくなり、もうそれ以上回らなくなったところでレンチを置く。これでシンクの水漏れともおさらばだ。僕は「ふぅ」とため息をつきながら額の汗をぬぐった。後はハンドルを取り付ければ作業完了である。

「止水栓を開けてくる。蛇口を見てておくれ」

 そう妻に告げると、玄関脇にあるガスメーターボックスを開き、中の止水栓を勢いよく開放した。

 こう言ってはなんだが、僕の手先の器用さは自他共に認めるところである。蛇口のパッキン交換など朝飯前——それに修理のためにわざわざ新しく工具や材料を購入したのだ。もしこれで直っていなかったら、まぁ、そんなことは万にひとつもあるまいか。

 「どうだ、直ったろ?」と玄関から妻に声をかける。

 「ああっ……!」

 キッチンから鋭い叫び声が聞こえた。

 「……全然だめよ」

 キッチンに戻ると、先ほど修理を終えたはずの蛇口からじゃぶじゃぶと水があふれ出していた。これではむしろ、修理前より悪化している。それを見た僕は「あぁ、どうしよう」とは声にこそ出さなかったものの、12月の寒空の下、再び止水栓を閉めながら、しばらく途方に暮れた。

典型的なキッチンの水漏れ

 「これ、水漏れじゃないかな?」

 洗い物を終えた蛇口の根本にじわりとできた水たまりを、僕は指摘した。実は随分と前からこの症状に気がついていたいたものの、本当に水漏れだったら修理の手配など面倒だなと、水がもったいないと思いながらも現実から目を背けてきた。しかしある晩、夜中にふいに目が覚め、閉めたはずの蛇口から、ポタリ、ポタリ、と聞こえてくる不気味なリズムを耳にしたとき、これはやはり水漏れだと確信した。修理しなければならない。

 真っ先に考えたのは水道業者への修理依頼だ。だが調べてみると、工賃の他に材料費や出張費用などもかかり、月末のお財布を思いのほか圧迫しそうだった。ならば自分で修理するか——。

 大阪府では外出自粛が要請されており、どうせ休日は家で過ごす。日用品の買い出しついでに工具と材料を用意し、さっそく修理に取りかかった。

水漏れの修理手順

 蛇口のパッキン交換の手順はこうだ。

  1. 止水栓を閉める(これを忘れると大惨事必死)
  2. 蛇口のハンドルを外し、分解する
  3. パッキンを交換する
  4. 元どおり組み立てて完了

 このようにシンプルな作業であるから、DIYの経験者ならばこともなげに済ませられるだろう。僕は未経験者だが工具の扱いには慣れている。まぁ30分もあれば十分だろうと、高をくくったのが間違いだった。

素人のミス

 まず工具の選択を誤った。

 選んだレンチではサイズが小さく、蛇口のボルトには合わなかった。このことに気づいたのは途中まで分解してからのこと。もう後戻りはできない。マンションの管理人に事情を説明し、工具を一時的に貸してもらった。そして後ほどレンチをもう一本買い増す羽目になった。

 それでも何とかパッキン交換を終えたのだが、今度は選んだパッキンがまずかった。

 蛇口には普通、メーカーや型番を刻印したラベルが貼られているが、我が家のそれは経年変化で判読できず、仕方なく分解したパッキンをホームセンターに持参し”一番近そうなもの”を選んだのだ。
 それで僕は玄関先で途方に暮れる結果となった。

 「せめてメーカーや型番が分かればなぁ」

 手がかりは蛇口のラベルしかない。
 ラベルを慎重に剥がして、光にかざしてみたり、ルーペで観察してみたり——何とか文字を読めないか。

 今にも破れそうなラベルの角度をあれこれ変えていると、一瞬文字の輪郭が浮かび上がった。ある角度からよく観察すると、うっすらと文字が読めるではないか。

「ミ……ズ……タニ、ミズタニ !」

 さっそくWEBで検索すると、見事にヒットした。普段WEB検索をあまり信用しない僕でも、このときばかりはGoogleをあがめ奉った。Google神よ我を導きたまえ!

修理完了、再び

 祈るような気持ちでメーカーに問い合わせたところ、交換用のパッキンを送ってくれるという。後日、届いたパッキンを組み込むと、今度は手応えが違う。寸分の狂いもなくかっちりとはまるのだ。この時点で僕は勝利を確信した。

 無事に修理を終えた蛇口を、帰宅した妻に誇らしげに見せた。

 「結局いくらかかったん?」

 妻の無邪気な質問に、僕は現実逃避を始めた。
 余分に増えた工具と、選び間違えて使えなかった数種類のパッキンが作業台の上に散乱している。それに純正品取り寄せの手間賃に作業に要した時間……。むむむっ、プロの修理とどちらがお得だったのか。
「まぁいいじゃないか」怖くて電卓をたたけない僕は話題をそらした。

 とにかく水漏れは無事直り、僕は水道のパッキン交換という新たな技能を手に入れたのだ。男なら水漏れ修理ぐらいできねばなるまい……そう言い聞かせながらブログを書いているのは12月23日こと。今年も残すところ、あとわずかである。