しっとりと潤った森に、しとしとと降る雨の音が日頃の雑事を忘れさせる。
水かさを増した迫力のある滝の姿や、雨に輝く緑が眩しい。雨の森は静かなイメージがあるが、意外にも躍動感にあふれている。
雨に恵まれ、暑すぎず寒くもない梅雨の頃は、撮影にも散策にも適した季節だ。
大阪では、ハイキング道が整備され、家族連れでも楽しめる『摂津峡』を雨の散策にもおすすめしたい。
今回はカメラ片手に『摂津峡・中腹自然林コース』を歩いてみた。
摂津峡とは
大阪府高槻市を貫く芥川(あくたがわ)では、三好(みよし)山の山麓を流れる約2kmの間、豊かな自然と渓谷美を楽しめるとあり『摂津峡』と呼ばれ親しまれている。
隣接する『摂津峡公園』は、42.65haある公園の敷地がすべて山林地帯であり、春は桜、夏はホタル、秋は紅葉と、四季を通じて楽しめるハイキングコースがある。
今回は摂津峡公式マップにある『中腹自然林コース』をカメラ片手に歩いてみた。
摂津峡の中腹自然林コース
上の口バス停を下車し、摂津峡に向かう。
ついさっきまで都市を走っていたのに、一歩里山に足を踏み入れると、そこには田舎育ちの私には懐かしい景色が広がっている。高槻市はいいところですね。

芥川マス釣り場からしばらく歩くと摂津峡の入り口だ。今回は摂津峡の景勝地『白滝』から里山の中腹を歩いていく。
芥川沿いを歩く渓谷コースもおすすめだが、中腹コースは少々標高を稼ぎ、展望台からの風景も楽しめる。



夫婦岩の先の分岐を北に進むと、5分ほどで白滝に到着した。落差15mの小さな滝だが、雨で勢いを増した滝は迫力と風情が同居していた。

滝を撮影すべく、三脚を据えて長いシャッタースピードで滝を糸のように写してみた。

ISO感度は50相当。もともと光量の少ない森と雨の条件下では、シャッタースピードを容易に稼げる。意図した通りに撮影できて満足。
滝の撮影後、ここから中腹自然林コースへと向い、尾根をゆっくりと登っていく。


ハイカーは私1人しかいない。こんな天気にまさか人が来るとは、サワガニも予想しなかったことだろう。水たまりで水浴びをしていたが、私の姿を捉えると急ぎ足で穴に隠れてしまった。

尾根を登り切り、摂津峡青少年キャンプ場への分岐を南に進むと展望デッキがある。
たかだか標高200m足らずの展望台だが、南には高槻の市街地が、正面には三好山をはじめ、北摂の山々の稜線が折り重なるように望める。
雨が降り、霧が立ち込める幻想的な風景は、大阪市内から1時間でアクセスできる場所とは思えなかった。



展望デッキを通過し、くぬぎ谷、もみじ谷方面へと進む。ハイキング道の脇には数百メートルおきにベンチやテーブルが設けられており、弁当を持参してピクニックも楽しいかもしれない。もみじ谷はその名のとおり、秋には紅葉で人々を楽しませてくれる。



わずか3.8kmの短いコースだが、見所が多く老若男女が楽しめる。アクセスも良い。私のホームコースとして、摂津峡に通ってみようか。
雨の日も晴れの日も、摂津峡は四季を通して魅力あふれるところである。
摂津峡の立ち寄りスポット

関西では数少ないアルカリ性重曹水。その濃度は温泉規格の2.5倍もあり、大阪府で唯一、療養温泉に合格する。
- 住所:高槻市塚脇4-20-3
- TEL:072-689-6700
- 営業時間:10:00〜24:00
- 入浴料:大人900円~
※この記事の情報は2020年6月執筆時のものです。
摂津峡へのアクセス

- 行き:JR高槻駅北口 市営バスのりば〜約20分〜上の口
- 帰り:市営バス塚脇〜約20分〜JR高槻駅北口