鉄フライパン

脱プラスチック

脱プラスチック生活・テフロン鍋の代替品|鉄フライパンの使い方

2021年1月22日

 結婚以来、我が家のフライパンは鉄製と決まっている。油がなじむまでは失敗を重ねたが、使い込んだ現在は年季の入ったダッチオーブンのように黒々と光り、野菜を炒め、オムレツを調理し、ギョーザをこんがりと焼き上げている。

 フライパンといえばテフロン加工のものが広く普及しているが、実はテフロンをやめ、鉄フライパンを選ぶことで地球環境へ貢献できるのだ。これは一体どういうことだろう。

目次

テフロンはプラスチック

 国連開発計画(UNDP)が推奨する『プラスチックを使わず生活する20の方法』では、テフロン加工のフライパンについて以下のように言及している。
 

3.テフロン加工のくっつかないフライパンは避けましょう。

 テフロンは、マイクロプラスチック(5mm以下の細かいプラスチック粒子)に分解されていきます。それを食べてしまうことになるだけでなく、下水システムを通って水路や海洋に流出します。そして、それらの細かいプラスチック粒子を食べた魚を私たちが食べるのことになるのです。

国連開発計画(UNDP)『プラスチックを使わず生活する20の方法

 なぜテフロンを避けるべきなのか、具体的にみてみよう。

テフロンとは

 そもそもテフロンとは、アメリカのデュポン社が開発した各種フッ素樹脂の商品名のことである。フッ素樹脂、要するにプラスチックのひとつであり、フライパンや調理器具をはじめ、アウトドア用品の防水透湿素材「ゴアテックス」にも使用されている。
 そのテフロンはプラスチックの中でも柔らかい部類に入り、鉛筆でいうB〜2Hくらいの硬さだとされている。柔らかいから傷が付きやすく、剥がれやすい。テフロン加工フライパンが金属ヘラの使用厳禁とされるのは、このためだ。
 丁寧に使ってもテフロンはやがてフライパンから剥がれてしまう。テフロン鍋の寿命は1〜2年といわれ、その度に買い替えなければならない。これは使い捨てプラスチックと同義といえないだろうか。

 使い捨てプラスチックは海洋や世界のさまざまな場所でのプラスチック汚染の要因のひとつである。さらにプラスチックの製造・焼却で温室効果ガスが発生し、これは地球温暖化とも切り離せない問題なのだ。プラスチックについては「使い捨てスプーン・フォークは本当に必要か?|プラスチック・フリー生活を目指して」や「無印良品のマイバッグとマイボトル|プラスチック・フリー生活を目指して」も確認してほしい。

 さて、フライパンから剥がれたテフロンはどこへ行くのだろう。
 ひとつは、マイクロプラスチック(長さ5mm以下のプラスチック)になり食事と共に人体に入りむ。現在、プラスチックは消化吸収されず短期間で体外に排出するとされているが、これについては後述する。
 もうひとつは、下水を通じて海洋に流出する。微細なプラスチックは浄化施設をすり抜けてしまう。海洋に流出したマイクロプラスチックは生態系に取り込まれ、浸み出す毒素が生態系の中で凝縮されいてく。そして海産物を通じて、僕ら人間が口にすることになるのである。

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鉄フライパンのメリット・デメリット

 テフロンはプラスチックであり、どうやら環境への影響が小さくない。そこでテフロン加工フライパンの代替品として、おすすめしたいのが鉄フライパンだ。
 既に4年目に突入した我が家の鉄フライパンは油もしっかりとなじみ、毎日の調理に大活躍している。まず鉄フライパンのメリットとデメリットを確認しておこう。

  • 鉄分を補える
  • 頑丈
  • 高温調理ができる
  • 経済的  

 鉄フライパンの大きなメリットは上記4点だ。
 調理の度に鉄分が浸み出すため、鉄分を補給できる。その頑丈さは高温にも耐えられ、保温力も高く揚げ物などの高温調理にも適している。頑丈であるから金属ヘラも躊躇(ちゅうちょ)なく使え、何より長持ちするから経済的である。寿命の短いテフロン鍋と違い、大切に使えば買い換える必要がないのだ。

 もちろん鉄フライパンならではのデメリットもある。
 やはり、油がなじむまで育てる必要があることが最大のデメリットだろう。使い込む前の鉄フライパンは食材がくっつきやすい。魚を焼こうものならくっついて剥がれないし、ギョーザやオムレツだって何度も何度も失敗した。

 とはいえ、鉄フライパンを育てる、という楽しみもある。使い込むうちに黒く輝き、油がなじめば食材もくっつかない。そうなれば使い心地は申し分ない。よくなじんだ鉄フライパンは買い替える必要がなく、プラスチック問題にも貢献できるのだ。

 使いこなしが難しそう?
 大丈夫。僕も妻もシェフではない。いくつかのコツをつかめば、鉄フライパンは素人でも使いこなせるのだ。

鉄フライパンの使い方

鉄フライパン

 鉄フライパンの簡単な使い方をまとめておこう。

  • 新品をおろすときは空焼きと油ならし
  • 使う前の油返し
  • 洗剤を使わずに洗う

新品は空焼き・油ならしを

 新品の鉄フライパンには防錆材が塗布されている。使い始める前にコンロにかけて防錆剤を焼き切ろう。その後、多めの油と野菜クズなどを一緒に炒めれば油ならしの完了だ。
 おろしたての鉄フライパンは揚げ物に使うといい。よく油がなじんでくれるからだ。
 最近は空焼きの必要のない鉄フライパンも販売されているから、それを選べば手間がひとつ省ける。

調理前には油返し

 調理前に油返しをすることでフライパンがコーティングされ、食材がくっつきにくくなる。いわば鉄フライパンの儀式のようなものだが、手順はいたって簡単である。

  1. フライパンを熱する
  2. 多めの油を投入し、フライパン全体に油をなじませる
  3. 余分な油はオイルポットに戻す

 この油返しを調理前に毎回行おう。これでくっつきやすい食材も大丈夫だ。

手入れはタワシでゴシゴシと洗うだけ

 最後に手入れ方法を。これはいたって簡単であり、水とタワシでごしごしと洗うだけでいい。洗剤を使うとせっかくなじんだ油が落ちてしまうので、使わないことがポイントだ。あとは水気をよく切り、乾かしておこう。

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テフロンの人体への影響は?

 テフロン加工フライパンは、ごく最近までPFOA(ペルフルオロオクタン酸)という界面活性剤を使用して製造されていた。PFOAは発がん性を有する。その安定性の高さから自然環境の中でほとんど分解しない。生物濃縮によって生態系や食品にとりこまれ、摂取されることで人間の健康に害をおよぼす「残留性有機汚染物質」である。

 テフロンを高温で熱し、350度を超えると熱分解が始まり、有毒ガスが発生する。この有害ガスは、ペット、とりわけ鳥の中毒死により「テフロン中毒」として知られるようになった。だからテフロン鍋は空焚き厳禁なのである。

 テフロンを開発したデュポン社は、2012年にPFOAの使用中止を発表し、国内の主要フッ素化学メーカーもPFOAの使用を廃止した。では代わりに何を使っているのだろうか……? 

 現在、マイクロプラスチックは体内で消化されず、短期間で体外に排出されるとされている。ただちに健康に影響することはない。その一方でマイクロプラスチックの人体への影響は研究段階であり、未解明の部分が多いのも事実だ。
 『脱プラスチックへの挑戦 堅達京子+NHK BSスペシャル取材班』の”マイクロプラスチックの脅威”によると、プラスチック汚染の権威・高田秀重教授(東京農工大学)の研究で、海鳥が摂取したプラスチックから化学物質が溶け出し、生物の組織に移行・蓄積されることを確認したという。

 マイクロプラスチックはただちに健康への影響があるわけではない。しかしながら浸み出した化学物質が人体に蓄積する可能性があり、何かしらの影響が懸念されているのも事実だ。
 事故を起こすとは限らないが自動車保険に入る。がんになるかは分からないけど、がん保険に加入する。そういったスタンスで、もしリスクがあるのなら回避したい、だからテフロンは使用しない、という選択も考慮してみてはいかがだろうか。何より、テフロンを使用しないことは脱プラスチックにつながるのだ。

鉄フライパンを試してみよう

 テフロン加工のフライパンは寿命が短い。剥がれたテフロンは世界で広がるプラスチック汚染や地球温暖化の原因のひとつだ。少しでも環境に関心があるのなら、そして物質をひたすら消費し続けるライフスタイルに疑問があるのなら、ぜひ鉄フライパンを使ってみよう。

 最初は油がなじまず少々の手間はかかる。しかし、使い込めば快適なフライパンへと育ち、その使い方は簡単だ。丈夫で長く愛用でき、買い替えの必要がないからお財布にも優しい。
 今の時代、昔ながらの鉄フライパンが、実は地球に優しい、時代の最先端の道具、なのかもしれないのである。

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Takashi

元靴メーカー勤務の職人、現在はWEBライターとしてアウトドア系メディアで執筆しています。靴業界での10年以上の経験、趣味のアウトドア経験を活かして書きます。大阪府山岳連盟「青雲会」所属・読図ナヴィゲーションスキル検定「シルバーレベル」・2018年「狩猟免許」取得・ランサーズ「認定ランサー」・フルマラソンベスト3時間29分。

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