六甲山系・鍋蓋山の登山ルート|平野谷〜鍋蓋山〜再度公園〜新神戸

鍋蓋山 登山

 電車を降りたら、徒歩すぐに登山口へアクセスできるのが六甲山系の魅力である。朝、思い立ったら大阪からでも約1時間で登山口へ。鍋蓋山はそんな六甲山系を代表する山である。

 鬱蒼とした谷筋を抜け、野鳥がさえずる林道から峠を越えて山頂へ立つ。鍋蓋山からは南に視界が開け、大阪湾の好展望が広がっている——さぁ、静かな森と展望を楽しむ日帰りハイキングへ出かけよう。

目次

鍋蓋山登山コースの概要

  • コースタイム:約4時間
  • 歩行距離:約9.2km
  • 行程:五宮神社登山口→平野谷コース→二本松林道→七三峠→鍋蓋山→再度公園→善助茶屋跡→城山→新神戸駅
  • 1/25000地形図を表示

 鍋蓋山は神戸市兵庫区・平野の背山で、標高486mの低山だ。一説によると、その山容を遠方から見ると鍋の蓋のように見えることから名付けられたというが、真偽は分からない。

 六甲山系を構成する山のひとつであり菊水山、再度山の間にそびえ、全山縦走路が走っている。山頂から南に開ける展望が良く、六甲山系にしてはハイカーも比較的少ない。静かに山を楽しみたい人におすすめだ。

 いくつかある登山コースの中から平野谷コースを選んだ。やや道が荒れており、山と高原地図を使った計画作成サービス「山プラ」では破線コースに分類される。道迷いには十分に注意しよう。

鍋蓋山ハイキングレポート

 菊水山と鍋蓋山、この六甲山を代表するふたつの山は、六甲全山縦走路の難所として知られている。なにせ、階段続きの急登を登った菊水山(458m)から一気に天王谷へと下り、ふたたび急登を経て鍋蓋山(486m)へと登るのだ。毎度々、汗を吹き出しながら登っては下り、そしてまた登るのだから、「一体何をやっているのだろう」と、我ながら思う。その先は再び市ケ原へと下り、摩耶山の天狗道、稲妻坂が待ち構えているのだから、どうやら僕はよほどの物好きらしい。

 そんなわけだから、鍋蓋山は全山縦走路の通過点であって、これまで鍋蓋山でのんびり過ごしたこともなければ、目的地としたこともなかった。しかしなかなか展望の良い山で、たまにはゆっくり登ってみるかと地図を眺めながら考えたのだ。そうして春暖に誘われるがまま、妻とふたりで鍋蓋山ハイキングへと出かけてきたのである。

 阪急電車を乗り継いで「花隈駅」で下車。そこから市街地を進み、五宮神社の奥が登山口だ。今回は登山口から平野谷コースを登る。

鍋蓋山 登山
五宮神社登山口から平野を望む。

 平野谷へ入ってすぐ、しっとり、というよりジメジメという言葉がしっくりとくる、鬱蒼とした谷筋コースが始まった。足元にはクマザサやシダ類が繁茂し、道が不明瞭な箇所もある。

鍋蓋山 登山
鬱蒼、という言葉がぴったりの平野谷コース。

 「どうやら、あまり歩かれていないのかな?」

 道は整備されているとは言い難く、やや荒れている。
 帰宅してから調べてみると、僕が所有する『2018年版 山と高原地図 六甲・摩耶』では、平野谷コースは実線、つまり一般登山道だが、登山計画作成サービス「山プラ」では、難路を表す破線コースになっている。ハイカーが減り、道が荒れてしまったのだろう。最新版の山と高原地図でも、平野谷は一般登山道ではないのかもしれない。

 平野谷を慎重に歩き、登っていくと五差路に到着する。
 ここからは二本松林道コースをゆく。
 先ほどとはうってかわり、林道には陽光が差し込み視界がパァッと明るくなった。芽吹いたばかりのモミジの葉が透過光に照らされて実に鮮やかで、一面の、いかにも新鮮な緑色が視界に飛び込んできた。まだ春先だが、新緑の二文字が脳裏をかすめる。

鍋蓋山 登山
二本松林道は明るく歩きやすいコースだ。

 そして季節の移り変わりを知らせる野鳥のさえずりが耳を楽しませた。

 「チヨ、チヨ、ビィー!」

 最後が濁る、この特徴ある声の主はセンダイムシクイだ。センダイムシクイは夏鳥として九州以北の低山、落葉広葉樹林に渡来する。この鳴き声が「焼酎一杯、グイー」と聞こえることは、野鳥愛好家の間で有名である。
 4月も中頃になると落葉した木々が芽吹きはじめ、野鳥の姿を見ることは難しくなる。しかし美しい管楽器のようなさえずりは、春から夏にかけて繁殖期を迎える野鳥の、この時期ならではのものなのだ。
 そういえば自宅近所の河川敷でもツバメが忙しそうに飛んでいた。きっと巣作りに励んでいるのだろう。冬は過ぎ去り、自然は春から夏にかけての衣替えの真っ最中である。

鍋蓋山 登山
特に何もない七三峠。

 二本松林道を歩き、その先から登山道へ入るとすぐに七三峠に着く。ここから先、低山ながら「一寸の虫にも五分の魂」的な急坂を登ると、15分ほどで鍋蓋山の稜線へ出た。稜線から少し西へ歩けば鍋蓋山の山頂に到着だ。

鍋蓋山 登山
鍋蓋山から大阪湾を望む。

 山と高原地図に展望マークがあるように、鍋蓋山からの眺めはなかなかのものだ。日本三大夜景で知られる摩耶山・掬星台からの眺めにも勝るとも劣らない、と個人的には思う。鍋蓋山の南に広がる展望は、菊水山や高取山、旗振山など六甲全山縦走路にそびえる山々を一望できる。大阪湾を隔てた先には淡路島が浮かび、天候がよければ、四国・徳島まで視界に捉えられるだろう。

 ふむ、いつもは通過するだけの鍋蓋山だが、こうしてゆっくり景色を楽しんでみると、なかなかどうして、良い山ではないか。山頂で昼食をとり、その後は広域地図をひっぱりだして山座同定を試みた。隣のベンチでは、お手製のお弁当をほおばりながら、のんびりと海を眺めるベテランハイカーが午後のひとときを過ごしていた。

鍋蓋山 善助茶屋跡
善助茶屋跡、ここから神戸の毎日登山の文化が生まれた。
瀧山城跡
城山にある瀧山城跡。わずかだが石垣の跡も見学できる。

 休憩を終え、再度公園と毎日登山発祥の地・善助茶屋跡を経由して城山(瀧山城跡)を訪れた。石碑やちょっとした石垣跡などを見学し、そうして新神戸へと下山した。

鍋蓋山へのアクセス