六甲山

山レポート

六甲山の登山ガイド|芦屋から六甲山最高峰をこえ、有馬温泉を楽しむ山歩き

 兵庫県小野市の里山に囲まれて育った私が、本格的な山遊びを覚えた山は六甲山であった。須磨アルプスの岩稜に驚き、摩耶山からの眺望に魅了され、須磨から宝塚へとのびる全山縦走路を何度も走り、歩いた。

 六甲山は街と山が望遠レンズで覗いたように重なっており、アクセスが抜群に良い。朝目覚めて、思い立ったらすぐに登山口に立てるのも魅力のひとつだろう。

 その六甲山を語るうえで外せないのが、芦屋〜六甲最高峰〜有馬温泉のコースである。六甲山でも屈指の人気を誇るこのコースで、山歩きに目覚めた人も多いのではないか。

 かくいう私も何度も歩いたコースだが、また久々に歩きたくなった。下山後の温泉とビールを楽しみにしながら、晩秋の晴れた1日、六甲最高峰と有馬温泉を目指して歩き始めた。

目次

六甲山の登山コース概要・服装・装備

  • 歩行距離:約11km
  • 歩行時間:約5時間
  • 難易度:一般向け

 六甲山とは、西は神戸市須磨区から、東は歌劇で知られる宝塚へと連なる山域の総称のことである。最高地点は六甲山最高峰の931m。北部には名湯有馬温泉を抱き、山頂付近の半分は観光地として開発され、その名は全国に知られている。

 六甲山には全山縦走路をはじめ縦横に登山道が走っている。中でも人気なのが本記事で紹介するコースだ。

六甲山登山の服装や装備

 距離は長いがコース上に危険箇所はない。特別な装備は必要ないが、最低限下記の装備を用意しておきたい。

  • 軽登山靴、よく履き慣れた運動靴
  • 季節に応じた防寒着(都市部と山頂の気温差が約6度)
  • レインウエア
  • 最低限の救急キット
  • 地図とコンパス、もしくはスマホの登山地図アプリ
  • 飲み物
  • お弁当や軽食
  • 必要であれば入浴セット

これだけは持ちたい!ファーストエイドキットに最低限加えておきたい装備のご紹介

数年前、六甲山中でうつむき加減に手を押さえながら歩いてくる男性に遭遇した。よく見ると手から出血しており、なんでもイノシシにかまれたらしい。 幸いにも軽傷であったため、ガーゼの応急手当てで事無きをえた。 山は素晴らしい場所だが、同時に恐ろしい場所でもある。山遊びは、そうした危険な場所に積極的に乗り込むわけだから、起こりうる危険に対した備えは十分にしておきたい。 ...

10分で学ぶ登山の服装の基礎テクニック|レイヤリングの基本をマスターしよう

服を何枚も着込んだのに暖かくない。  汗が冷えて、夏なのに寒い思いをした。  野外でこのような経験をしたことはないだろうか。  いくら高機能なアウトドアウエアを着用しても、正しく組み合わせないと効果を発揮できない。そこで大切なのが、登山の服装の基本『レイヤリング』である。 ...

 特に地図とコンパスや、スマホの登山地図アプリは必須である。六甲山には登山道以外の作業道やけもの道が縦横に走っており、道迷い遭難が発生してる。

 登山者が多く道標も整備されているとはいえ、地図や地図アプリを必ず用意しておこう。

六甲山の登山コースガイド

六甲山 登山 ロックガーデン
ロックガーデンから六甲山最高峰まではトイレがないため、ここで済ませておこう。

 平日にもかかわらず、阪急芦屋川駅前の広場は、大勢の登山客でにぎわっていた。芦屋川コースの人気の高さがうかがえる。ここから住宅街を北に進み、ロックガーデンの入り口へと向かう。

六甲山 登山 高座の滝
ロックガーデンの登山口である高座の滝。

 ロックガーデンは日本の近代登山発祥の地であり、藤木九三、加藤文太郎らの登山家が高みを目指してトレーニングに励んだ場所だ。現在もロッククライミングの練習に使われるA懸垂岩やB懸尾根などに当時の名残りが見られ、岩場歩きを楽しめる。

六甲山 登山

 中央尾根コースには鎖場もあるが、難易度は易しい。注意して登れば初心者でもクリアできるだろう。岩場を上りきり、樹林帯の尾根道を進めば、ほどなくして風吹岩(かざふきいわ)に到着する。風吹岩の上からは芦屋の街を見渡せ、広場もあるため休憩適地である。

六甲山 登山 風吹岩

 風吹岩を出発し、雨ヶ峠(あまがとおげ)を目指す。急登はいったん落ち着き、しばらくなだらかな道が続く。とはいえ、適度にアップダウンがあったり湿原を通過したりと変化に富み、登山者を飽きさせない。

 登山道はよく整備され危険な場所はない。のんびりと自然を楽しみながら歩ける道だ。ゴルフ場を横切り、急坂を上りきれば雨ヶ峠である。

六甲山 登山 雨ヶ峠
雨ヶ峠の広場にはベンチが複数設けられ、休憩適地である。

 雨ヶ峠にはベンチや東屋(2019年11月現在は使用中止)が設けれら、多くの登山者はここで休憩をとる。この先、住吉川にいったん標高を下げ、七曲りの長い急登が待ち構えるからだ。十分に水分やエネルギーを補給しておこう。

 今回はパスしたが、雨ヶ峠から分岐する『東おたふく山』も見物である。東おたふく山は六甲山域で唯一の草原が広がり、眺望も抜群だ。余裕があれば立ち寄ってみてほしい。

六甲山 登山

 雨ヶ峠を後にし、住吉川の谷筋へと下る。そこはちょうど紅葉の見頃であった。美しく色づいた広葉樹が視界に飛び込み、足下には紅葉の絨毯(じゅうたん)が広がっている。しばし足をとめて、その見事な紅葉を観察した。本コースはもう何十回と歩いたが、それでも訪れる度に感動できるのは、自然が有する奥深さ故のことだろう。

六甲山 登山 本庄橋跡
住吉川・本庄橋跡

 住吉川へと下り、本コース最大の難所『七曲り』への登りに取り付く。河原から六甲山最高峰まで、標高差300mの尾根道を一気に登るのだ。初心者にはつらい登りだろうが、幸い尾根からの見晴らしはなかなか良い。場所によっては六甲山の山々から麓の街並み、その先には大阪湾まで望める。

 改めて、山・街・海の近さを感じられることだろう。息が上がればひと息つき、ひと息つく度に景色を楽しめば、あっという間に一軒茶屋に到着する。

六甲山 登山 一軒茶屋

 一軒茶屋は、六甲山最高峰の直下に位置する茶屋で、江戸時代から道ゆく人々に親しまれている。店内では、そばやうどん、カレーなどの軽食を食べられる。

 余談だが、炎天下にトレイルランで七曲りの急坂を駆け上がり、疲労のすえに一軒茶屋で鼻血をだしながら食べたそばは、世界で一番うまいそばだった。

六甲山 登山

 一軒茶屋からもうひと登りで六甲山最高峰に到着である。山頂は1等三角点のある広場で、好展望地だ。広場の中心には『六甲山最高峰』の道標が立ち、しばしば記念撮影の列ができる。

 芦屋川から標準コースタイムで登ると、3時間〜3時間半で六甲山最高峰に到着するだろう。9時前後に出発すると、昼食にはちょうど良い時間だ。おにぎりを食べながらジェットボイル で湯を沸かし、熱々のラーメンをいただいた。

六甲山 登山 魚屋道

 下りは魚屋道(ととやみち)経由で有馬温泉を目指す。魚屋道の名は、魚屋が有馬の温泉宿に新鮮な魚介類を届けるために使用したことに由来する。樹林の中をのびる静かな登山道だ。

 瑞宝寺(ずいほうじ)公園へと続く筆屋道、紅葉谷へと続く炭屋道への分岐を見送り、つづら折れに下ると有馬の温泉街に到着である。

有馬温泉
有馬温泉街への入り口。

 本コースの人気が高いのは、やはり下山後の有馬温泉の存在が大きいと思う。有馬に到着すると、土産物屋や飲食店が軒を連ね、温泉街らしい風情が漂う。時間が許せば温泉や街歩きをぜひ楽しんでほしい。

有馬温泉 銀の湯

 この日は名湯『銀の湯』で汗を流した。湯上りのビールが五臓六腑に染み渡る。この一杯のために山を歩いている、というのは私だけではないはずだ。程よい疲労とほろ酔いに包まれ、帰りのバスでぐっすりと眠りについた。

六甲山登山コースの温泉・立ち寄りスポット

竹中肉店

 竹中肉店は、有馬温泉にある国産黒毛和牛、神戸牛を取り扱う専門肉店だ。店頭で販売しているコロッケやミンチカツは絶品。温泉前後の腹ごしらえにおすすめだ。

竹中肉店
揚げたてのビーフコロッケをほおばる。
  • 住所:〒651-1401 兵庫県神戸市北区有馬町813番地
  • 定休日:水曜日
  • 営業時間:9:00~18:00
  • TEL:078-904-0298
  • HP:www.arima-takenaka29.com/

有馬温泉金の湯・銀の湯

 日本三名泉・日本三古泉の有馬温泉を楽しめることが、本コースの醍醐味(だいごみ)である。古くは豊臣秀吉が湯治に訪れたことで知られる名湯だ。せっかくだからひと風呂浴びて行こう。

金の湯

銀の湯

六甲山登山へのアクセス

  • 行き:阪急大阪梅田駅〜280円 20分〜阪急神戸線『芦屋川』駅
  • 帰り:神戸電鉄有馬線『有馬温泉』駅、もしくは阪急高速バス〜1400円 60分〜阪急三番街(大阪)

※記事の情報は2019年12月時点のものです。

Takashi

元靴メーカー勤務の職人、現在はWEBライターとしてアウトドア系メディアで執筆しています。靴業界での10年以上の経験、趣味のアウトドア経験を活かして書きます。大阪府山岳連盟「青雲会」所属・読図ナヴィゲーションスキル検定「シルバーレベル」・2018年「狩猟免許」取得・ランサーズ「認定ランサー」・フルマラソンベスト3時間29分。

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