六甲山

旅レポ

六甲全山縦走コースガイド|市ケ原〜宝塚までの後半コースのご紹介

2020年2月27日

 関西近郊のハイカーにとって、六甲全山縦走路の踏破は大きな目標のひとつだろう。

 だが、公称56kmにおよぶ道のりは厳しく、その累積標高差は約2500mに達する。一日での踏破も可能だが、初心者にとっては難しいかもしれない。

 そこでおすすめしたいのが、全山縦走路を2分割で歩く方法だ。ここでは、六甲全山縦走路の後半コース、市ケ原〜宝塚までをご紹介しよう。

 なお、前半コースはこちらの記事を参考に。

目次

六甲全山縦走後半コースの概要

  • 歩行距離:約25km
  • 歩行時間:約10時間(山と高原地図 標準コースタイム)
  • 累積標高差:約1370m
  • 難易度:経験者向け

 六甲山とは、西は神戸市須磨区から東は歌劇で有名な宝塚へと連なる山域の総称のことである。日本の近代登山発祥の地とされ、黎明期には小説「孤高の人」のモデルになった加藤文太郎らが、高みを目指してトレーニングを積んだ場所だ。

 須磨から宝塚には公称56kmにおよぶ全山縦走路が走っており、2分割した場合は市ケ原が中間地点となる。後半コースは次の通りだ。

  • 新神戸駅〜市ケ原〜摩耶山〜記念碑台〜六甲ガーデンテラス〜六甲山最高峰〜東六甲縦走路〜宝塚ゆめ広場

 後半コースには、全山縦走路中の最難関とされる摩耶山への登りが含まれる。その標高差500mの急坂は、須磨から縦走してきた体には大きな負担となるだろう。

 摩耶山を登り終えても、六甲山最高峰までは登り基調の道のりが続く。そのため、前半コース同様に万が一の疲労や故障に備えてエスケープルートを確認しておこう。

補給とエスケープポイント

六甲山
極楽茶屋跡。このように山上には自動販売機が点在している。

 六甲山上の半分は観光地として開発されている。舗装路歩きが含まれることが難点だが、公共交通機関が整備されておりエスケープに便利だ。

 疲労や悪天候に見舞われた場合は、公共交通機関によるエスケープが安全である。

  • 摩耶山:摩耶ロープウェー
  • 摩耶山から記念碑台の間:阪急バス
  • 記念碑台から南に徒歩20分:六甲ケーブル山上駅
  • 六甲ガーデンテラス:六甲有馬ロープウェイ

 また、コース上には自動販売機が点在するほか、カフェや商店もいくつかある。

六甲山
藤原商店。
  • 摩耶山:CAFE 702
  • 藤原商店:兵庫県神戸市灘区六甲山町南六甲1034-29
  • 六甲ガーデンテラス
  • 六甲山最高峰直下:一軒茶屋

 CAFE 702と六甲ガーデンテラス、一軒茶屋では軽食を食べられ、藤原商店ではドリンクの補給やおにぎり、パンなどの購入ができる。装備をなるべく軽量化し、補給ポイントを積極的に利用するのもひとつの方法だ。

六甲全山縦走の装備・服装

 水や食料の補給は途中でできるとしても、必ず用意しておきたい装備がある。とはいえ特別な装備ではなく、日帰り登山の基本装備を確実に用意しておきたい。

  • 軽登山靴
  • 季節に応じた防寒着
  • レインウエア
  • 軽アイゼンまたはチェーンスパイク(冬季)
  • 地図とコンパス、またはスマホの登山地図アプリ
  • ヘッドランプと予備電池
  • スマートフォン
  • モバイルバッテリー
  • 救急用品
  • 飲料水
  • 行動食・昼食・非常食

 特に気を付けたいのが雪の対処だ。冬季の六甲山は低山ながら積雪に見舞われ、寒波が続くと登山道が凍結することもある。状況によっては軽アイゼンやチェーンスパイクが必要になるのだ。

 また、六甲山最高峰は標高931m。麓との標高差が約1000mあるため、気温差は6度を超える。街中での季節感が通用しないことを認識し、季節に応じた防寒着を用意しておこう。雪の六甲山については下記を参考に。

六甲山で楽しむ雪中トレイルランニング|宝塚〜東六甲縦走路〜摩耶山

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六甲全山縦走コースガイド

新神戸駅〜市ケ原〜摩耶山

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新神戸駅の裏手から市ケ原へと向かおう。

 後半コースは市ケ原から始まる。新神戸駅をスタートして、まずは市ケ原へ向かおう。

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 布引の滝や布引貯水池を経て、約1時間で市ケ原に到着する。トイレや自動販売機が設置されているので小休憩に最適だ。

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 市ケ原を出発すると、いよいよここからが本番である。摩耶山までの『稲妻坂』と『天狗道』を経て山上の掬星台(きくせいだい)を目指す。

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稲妻坂、天狗道の入り口。

 稲妻坂と天狗道は名前からしていかにも険しそうな道だが、実際に六甲全山縦走路の最難関とされている。標高差500mの長い急坂が続くのだ。途中の分岐で小休憩をはさみながら、確実に登っていこう。

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 天狗道を登り終えたところが摩耶山『掬星台』である。ここは日本三大夜景のひとつであり、見事な眺望を楽しめる。急登での疲労も、この景色を目にすれば吹き飛ぶことだろう。

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展望台からの眺め。

 掬星台には CAFE 702 や摩耶ロープウェイがあり、休憩やエスケープに最適である。

摩耶山〜六甲ガーデンテラス

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全山縦走路の看板を目印に進もう。

 六甲山の山上は観光地として開発されており、摩耶山を出発すると舗装路まじりの縦走が始まる。オテル・ド・摩耶や摩耶山天上寺を通過し、六甲ガーデンテラスへと向かう。

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山上の縦走路は舗装路と登山道が交わる。分岐を見逃さないように注意しよう。

 舗装路は登山道より歩きやすいが、小さなアップダウンが連続するところもある。最難関の摩耶山をクリアしたとはいえ、まだまだ油断大敵だ。また、舗装路と登山道の分岐を見失わないように注意したい。

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丁字ヶ辻のバス停。

 丁字ヶ辻の交差点を過ぎ、しばらく歩くと藤原商店がある。ここではドリンクやカップ麺の飲食、そのほか夏にはスイカも食べられる、縦走路中のオアシスだ。補給や休憩をかねてぜひ立ち寄ってみよう。

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 舗装された縦走路をどんどん東へと向かう。記念碑台を通過し、日本最古のゴルフ場、神戸ゴルフ倶楽部の敷地を抜け、ほどなくすると六甲ガーデンテラスへと到着である。

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 六甲ガーデンテラスは山上の観光スポットであり、大勢の観光客が訪れる。六甲枝垂れ(ろっこうしだれ)や六甲山ジンギスカンパレスなど、神戸を代表する名所が立ち並ぶ。展望台からの眺めも掬星台に負けず劣らず。余裕があれば観光も楽しみたいところだ。

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六甲ガーデンテラスからの眺望も素晴らしい。

 なお、公共交通機関でのエスケープができるのは六甲ガーデンテラスが最後である。この先の踏破が難しそうな場合は、バスやロープウェイで下山しよう。

六甲ガーデンテラス〜六甲山最高峰

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正規の縦走路は舗装路を何度も横切る。

 六甲ガーデンテラスを出発し、六甲山最高峰へと向かう。標高はすでに800mを越えており、麓とはずいぶん気候が違う。夏は涼しいが冬季は積雪の可能性もある。冬季は雪に対応できる装備を用意しておこう。

 六甲ガーデンテラスから先、正規の縦走路は登山道ではあるが、車道も走っている。登山道は小さなアップダウンを繰り返すだけで、私としては面白みに欠ける。好みにより車道を選ぶのもひとつである。

 縦走路を東へ進み、じわじわと高度を稼いでいく。車道を横ぎり、最後の急坂を登りきると六甲山最高峰に到着である。

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同行してくれた山岳会の同期と。

 標高は931m。数年前は藪にさえぎられ展望はなかったが、現在は360度近い展望が広がる。また、最高峰直下には一軒茶屋もあり補給もできる。

 ここから東六甲縦走路へと入るが、宝塚までの十数キロの道のりに補給ポイントはなく、トイレもない。六甲山最高峰で準備を整えておこう。もしエスケープする場合は、魚屋道(ととやみち)を有馬温泉方面に下山するのがおすすめである。

六甲山最高峰〜東六甲縦走路〜宝塚ゆめ広場

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東六甲縦走路への入り口。

 六甲山最高峰を通過し、残すは東六甲縦走路の踏破である。残り十数キロ、最後の頑張りどころだ。鉢巻山トンネルを通過し、道路の脇から東六甲縦走路へと入る。

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道標には番号が付けられている。

 東六甲縦走路の序盤はやや荒れた道が続くが、次第に歩きやすい道となる。ただ、須磨から歩き通す場合は、この時点で日暮れを迎えている可能性がある。ヘッドライトの用意を忘れずに。

 大平山、大谷乗越を越え、登山道の終点である塩尾寺を目指す。途中に舗装路歩きも含むため、登山道への入り口を見逃さないように注意しよう。

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途中の展望ポイントより。西宮方面の眺望が広がる。

 また、道標には番号が決められており、塩尾寺の番号は36番である。だんだんと積み重なる数字を励みに進みたい。

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塩尾寺に到着するころには、すっかり暗くなってしまった。

 砂山権現(神社)を通り過ぎ、最後の階段を下りると塩尾寺に到着だ。ひとまず登山道はこれで終わりとなる……だが、ゴールはまだ数キロ先の宝塚ゆめ広場である。

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宝塚の夜景。

 ここから長い舗装路を下っていく。この坂道がくせもので、全山縦走で疲労した足に容赦なく追い討ちをかけてくる。

 最後の踏ん張りをみせ、宝塚の街中に下りたところにナチュールスパ宝塚があるので、ぜひ立ち寄って汗を流そう。

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 ナチュールスパ宝塚から武庫川を渡ると、ついにゴールの宝塚ゆめ広場である。全山縦走ハイクの場合は須磨から12時間〜15時間、トレイルランの場合は8時間程度だろう。

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阪急宝塚駅前『ゆめ広場』

 タイムは個人の能力に左右されるが、いずれも長丁場であることに違いはない。目標を達成できた喜びを噛みしめながら帰途につきたい。お疲れさまでした。

下山後の立ち寄り湯:ナチュールスパ宝塚

 塩尾寺からの長いアスファルトの道を歩き終えると、ゴール目前にナチュールスパ宝塚がある。これを利用しない手はないだろう。

 館内は美しく気持ちよく利用でき、金宝泉、銀宝泉を楽しめる。疲労回復や筋肉痛改善の効能があるとされ、六甲全山縦走後の立ち寄り湯にはぴったりである。

  • 料金:男性840円 女性1040円
  • 営業時間:平日9:30~23:00 土日祝9:30~21:00
  • 休館日:毎月第1木曜日

六甲全山縦走まとめ

 公称56kmにおよぶ道のりも2分割で挑戦すると踏破しやすい。それでも険しい道のりには違いないから、十分な準備をしてから挑もう。

 この記事が、六甲全山縦走への挑戦に少しでも役立てば幸いだ。

 ※記事の情報は2020年2月執筆時のものです。

六甲全山縦走コースガイド|須磨浦公園〜市ケ原までの前半コースのご紹介

いつか六甲全山縦走を--。  これが、私が山歩きを始めたころの目標だった。関西近郊のハイカーで、六甲全山縦走を目標に掲げる人は少なくないだろう。  とはいえ、公称56kmに及ぶ道のりは厳しく一筋縄では歩き通せない。完走するには事前の準備とリサーチが欠かせないのだ。  「具体的なコースは?」  「服装や装備は何が必要?」 ...

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Takashi

元靴メーカー勤務の職人、現在はWEBライターとしてアウトドア系メディアで執筆しています。靴業界での10年以上の経験、趣味のアウトドア経験を活かして書きます。大阪府山岳連盟「青雲会」所属・読図ナヴィゲーションスキル検定「シルバーレベル」・2018年「狩猟免許」取得・ランサーズ「認定ランサー」・フルマラソンベスト3時間29分。

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