関西でおすすめのハイキングコースは? という問いに対して摩耶山は外せない。
市街地からのアクセスも良く、日本三大夜景として知られる山上の掬星台(きくせいだい)にはいくつもの登山道が走り、そのバリエーションは豊富だ。自信の体力や経験に応じて楽しめる、懐の深さがある。
摩耶山への登山コースはいくつかあるが、今回は夏場に歩きたい沢沿いのコース『トゥエンティクロス』を歩き、掬星台へのコースをご紹介する。
目次
摩耶山のハイキングコース概要
- 摩耶山標高:702m
- 歩行距離:新神戸駅〜摩耶山・約7.5km:新神戸〜摩耶山〜王子公園駅・約12km
- 歩行時間:新神戸駅〜摩耶山・約5時間30分:新神戸〜摩耶山〜王子公園駅・約5時間
- 注意:コースの一部に崩落箇所あり。詳しくは神戸市のマップを確認。
兵庫県神戸市の背後に連なる六甲山地。摩耶山はその一角をなす六甲山地の山である。山上には忉利天上寺(とうりてんじょうじ)を抱き、信仰の山として栄えてきた。
標高702m(掬星台は690m)の山頂は、八州の峰と呼ばれるほどの神戸市街と港の眺望が素晴らしい。山頂広場である『掬星台(きくせいだい)』は日本三大夜景に選ばれ、星を手で掬えるほどの絶景が広がることが名前の由来である。
山麓と山上がロープウェイとケーブルカーでつながり、アクセスは便利だ。休日には多くのハイカーや観光客が訪れる、関西の人気低山である。
摩耶山ハイキングレポート
新神戸駅を出発してすぐ、長い階段が待ち受ける。ハイキング開始後の上りがなんだかんだで一番キツい。登り終えた先に布引滝(ぬのびきのたき)があるので、休憩がてらにぜひ立ち寄ろう。

布引滝は生田川の中流にあたる布引谷にかかる。雄滝(おんたき)夫婦滝(めおとたき)鼓滝(つつみたき)雌滝(めんたき)などの総称であり、雄滝の落差は43mだ。平安の昔から歌や文学で親しまれた名瀑である。


みはらし展望台、布引貯水池を経て市ケ原へ。ここまでは良く整備された遊歩道を歩くが、市ケ原から先が本格的な登山道だ。トゥエンティクロス方面へと向かおう。


トゥエンティクロス

トゥエンティクロスは、生田川の渡渉を繰り返す道であり、以前は20回渡渉(クロス)したことから命名された。現在では森林整備により登山道が変化し、渡渉の回数は減っている。

2020年現在、高雄山の斜面が台風被害により崩落しており、あじさい広場の手前の登山道が大きく崩れている。通行止めではないが危険な状況である。高雄山の迂回ルートが推奨されているので、通行する人は自己責任で。

河童橋を渡り、神戸市立森林植物園東門でしばらく休憩した。この分岐には『徳川道』を解説した看板があり興味深い。

神戸市によると、1867年の12月7日の兵庫(神戸)開港にあたり、大名行列が往来する西国街道に面して外国人居留地ができることになった。
そこで、生麦事件のような大名と外国人との紛争を避けるために、突貫工事で造られた参勤交代の迂回路が徳川道である。トエンティクロスは徳川道の一部でもあるのだ。

徳川道が完成したわずか1ヶ月後、鳥羽伏見の戦いが勃発して幕末の混乱期を迎えた。1867年10月14日、第15代将軍徳川慶喜による大政奉還により、幕府は崩壊した。
明治の新政権により新たな迂回路が造成され、この徳川道は実際には使われることはなかった。いわば幻の西国街道バイパスである。
しばし歴史ロマンにひたり、ふたたび山頂へ向けて出発した。

桜谷分岐から摩耶山へ

桜谷分岐から桜谷道へと進む。摩耶山直下の急登の始まりだ。このあたりは踏み跡が無明瞭な道もあり、道迷いには十分に注意したい。

摩耶自然観察園への分岐を通過すると、掬星台はもうすぐ。最後の階段を上りきり、舗装路を歩くと掬星台へ到着する。


日本三大夜景に選定されるだけあり、ここからの眺望は素晴らしい。
下山はロープウェイ・ケーブルを乗り継いで山麓へ下りるか、余力のある人は登山道『上野道』から阪急電車『王子公園駅』へ下ろう。
下山後の立ち寄り湯:神戸クアハウス
都市部では珍しいふたつの天然温泉と、名水『神戸ウォーター』による多彩なお風呂を楽しめる。
- 住所:〒651-0093 兵庫県神戸市中央区二宮町3丁目10-15
- TEL:078-222-3755
- 料金:大人990円〜
- 営業時間:24時間年中無休
- 神戸クアハウス公式サイト
摩耶山へのアクセス
まやビューライン
- 摩耶ロープウェイ『星の駅』〜『虹の駅』〜摩耶ケーブル『摩耶ケーブル駅』全区間片道大人900円〜