蛇谷ヶ峰

山レポート

【蛇谷ヶ峰】軽アイゼンで楽しむ雪山入門ハイキング

 雪山と聞くと、アルピニストが目指すような危険な場所を想像する。あるいは映画『岳』のような、雪山での過酷な遭難救助劇を思い浮かべる人も、いるかもしれない。

 雪山は夏山よりはるかに難易度が高い。一部のプロフェッショナルしか登ることが許されない領域——というイメージがないだろうか。

 確かに、厳冬期の富士山や北アルプスは素人が登る山ではない。では、1000m程度の低山ならどうだろう?

 実は、積雪が少なく森林限界を超えない山なら夏山+アルファの装備と技術で楽しめるのだ。『蛇谷ヶ峰』が、関西で雪山入門ハイキングを楽しめる代表的な山である。

 ここでは、蛇谷ヶ峰で楽しむ雪山入門ハイキングをご紹介しよう。

目次

蛇谷ヶ峰の概要

  • 標高:902m
  • 地域:比良山系
  • 歩行距離:約6km
  • 歩行時間:約5時間
  • 難易度:雪山入門

 蛇谷ヶ峰は、滋賀県高島市朽木(くつき)の名峰である。比良山系に属し、山頂からは武奈ヶ岳や琵琶湖を望む好展望を楽しめる。

 1月の上旬から3月上旬ごろまで積雪がありながら、雪崩やホワイトアウトなど、雪山のリスクが少ない入門コースとして知られている。

 とはいえ雪がある以上、夏山よりリスクが高いことに違いはない。上記のタイムはあくまで参考であり、状況によって大きく変化するだろう。

 次項で紹介する装備を例に、しっかりと準備を整えて挑もう。

蛇谷ヶ峰・低山の雪山に必要な装備

軽アイゼン
雪山、または少しでも積雪の可能性がある山域ではアイゼンが欠かせない。写真は6本爪の軽アイゼン。

 積雪期の低山ハイキングに必要な、主な装備をご紹介しよう。

  • アウターレイヤー(レインウエアでも代用可)
  • 防寒着
  • グローブ
  • 帽子
  • サングラス
  • 替えの下着
  • バックパック
  • 3シーズン対応の登山靴
  • 軽アイゼン(6本爪)またはチェーンスパイク
  • トレッキングポール
  • 地図
  • コンパス
  • スマートフォン
  • ヘッドランプ(予備電池も必須)
  • ファーストエイドキット
  • 飲料
  • 食料(行動食・昼食・非常食)

 森林限界を超え、滑落の危険や強風が予想される高山には、雪に対応できるアルパインウエアが欠かせない。しかし、そのような危険がない低山では夏山のレインウエアで代用できる。

 アイゼンは6本爪の軽アイゼン、またはチェーンスパイクがおすすめだ。4本爪では踏ん張りが効きにくい。凍った箇所の通過に備えて、トレッキングポールも用意しておきたい。

グリーンパーク想い出の森〜蛇谷ヶ峰コース紹介

蛇谷ヶ峰

 車窓から望める比良山脈は、うっすらと雪化粧していた。ただそれは山頂付近の話で、麓に雪の気配はない。2020年は記録的な暖冬傾向だ。各地のスキー場が悲鳴を上げているという。

「雪はありますかね?」

 同行させてもらった先輩とそんな話をしながら、グリーンパーク想い出の森を出発した。

 想い出の森から蛇谷ヶ峰へと至るコースは複数あるが、今回は施設内のバンガロー村を抜け、その先の林道から登山道へ入る。蛇谷ヶ峰への最短コースだ。

蛇谷ヶ峰

 まずは577m地点の分岐を目指す。登り始めは緩やかな尾根を登る。なるべく汗をかかないようゆっくりと登ったが、この日は天候もよく暖かかった。レイヤリングを調整しても、ひたいには汗が吹き出す。

蛇谷ヶ峰

 分岐への急坂の直前、あらかじめ地図で確認していた危険箇所に遭遇した。写真のように木道が完全に崩壊してる。しかも、雨や雪でぬれた木の上は滑りやすい。ゆっくりと慎重に通過した。

蛇谷ヶ峰
標高577mの分岐。

 分岐から先は急な尾根道を登っていく。階段が多いのだが、これがくせものだった。

 登山道ではよくあるが、一段が大きく、大股で登らなければならないのだ。大股で歩くと汗をかき、汗冷えの原因になる。ウエアのジップを開閉しながら、体温調整に気をつけて登っていった。

 標高700mを過ぎたあたり。心配していた積雪量が少しずつ増していき、登山道は雪に覆われていった。これなら雪山を楽しめるか……?

蛇谷ヶ峰

 とはいえ、積雪は5cm程度のものだ。アイゼンが無くても登れるが、せっかく用意してきたのだ。練習もかねてアイゼンを装着する。

蛇谷ヶ峰

 雪の上を歩き始めると、あたりが急に静かになる。雪が音を吸収するからだ。聞こえるのは自分の息づかいと、アイゼンが雪に刺さる小気味良い音だけ。

 子供の頃、冬になると霜柱を探しては踏みつける音で遊んでいた。「なんだ、昔も今もやっていることは、大して変わらないじゃないか」と、幼少期の雪遊びを思い出しながら、山頂を目指した。

蛇谷ヶ峰

 主稜線に出るとスキー場からの登山道と合流し、山頂へはもうひと登りだ。この分岐からもなかなかの景色を望めるが、山頂はさらに絶景が広がるという。否が応でも期待が高まる。

 最後の登りを終え、山頂に到着した。

蛇谷ヶ峰
山頂から琵琶湖方面を望む。

 中央には蛇谷ヶ峰の道標が立ち、広場がある。南には武奈ヶ岳、東にはリトル比良の山々を見下ろし、眼前には琵琶湖が広がっている。その先には雪をまとった伊吹山、遠くには御嶽山までもが望める。

蛇谷ヶ峰

 360度の視界が開ける山頂は、絶好の展望ポイントだった。私が今までに体験した眺望ポイントの中でも、1位2位を争うかもしれない。

蛇谷ヶ峰

 抜群の展望を前にして、「あれが伊吹山。今年は雪が少ないなぁ」「その奥に見えるのが御嶽山だ」などと、偶然に居合わせた登山者たちが山談義に花を咲かせている。登山者は皆、山の話がしたいのだ。

 この景色を眺めながらの昼食も、また絶品だった。

ジェットボイル

 単なるインスタントラーメンなのだが、冬山の温かい食事は何ものにも代えがたい。

ジェットボイル
インスタントラーメンにソーセージを入れただけの、簡単な食事。だが、これが絶品なのだ。

 下山までのあいだ、ゆっくりと食事と眺望を楽しんだ。後ろ髪を引かれる思いで下山したのは、久しぶりのことだった。

下山後は『くつき温泉てんくう』で温まろう

くつき温泉てんくう

 さて、下山後のお楽しみは温泉である。蛇谷ヶ峰登山口の駐車場前に『くつき温泉』があるから、立ち寄らない手はない。外で冷えた体を温めて帰ろう。

くつき温泉てんくう
  • 住所:滋賀県高島市朽木柏341-3
  • 電話:0740-38-2770
  • 料金:大人(中学生以上)700円・小人(3歳以上)350円
  • 営業時間:10:00〜21:00

蛇谷ヶ峰へのアクセス

 蛇谷ヶ峰へのハイキングは、グリーンパーク想い出の森をベースにするとよい。登山口も近く、下山後の温泉も目の前だ。

 アクセスは公共交通機関もあるが、道の駅くつき新本陣からのシャトルバスは予約が必要なようだ。車のほうが便利だろう。詳しくはグリーンパーク想い出の森公式サイトで確認してほしい。

<車でのアクセス>

  • 京都東ICから国道161号バイバス、湖西道路安曇川経由で約1時間40分

<公共交通機関でのアクセス>

  • JR湖西線安曇川駅→江若バス【朽木学校前】徒歩1分【道の駅くつき新本陣】よりシャトルバス

蛇谷ヶ峰で雪山ハイキングを楽しもう

 雪山は一部のプロフェッショナルだけのものではない。蛇谷ヶ峰のようにリスクの低い低山を選べば、夏山+アルファの装備で楽しめるのだ。

 とはいえ、夏山よりリスクが高いことに違いはない。しっかりと準備を整え、思いっきり山を楽しもう。

 ※この記事は2020年1月現在の情報です

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  • この記事を書いた人

Takashi

元靴メーカー勤務の職人、現在はWEBライターとしてアウトドア系メディアで執筆しています。靴業界での10年以上の経験、趣味のアウトドア経験を活かして書きます。大阪府山岳連盟「青雲会」所属・読図ナヴィゲーションスキル検定「シルバーレベル」・2018年「狩猟免許」取得・ランサーズ「認定ランサー」・フルマラソンベスト3時間29分。

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