スマホを辞めて、デジタルガジェットと情報の渦からの脱出に成功した・2

ニッチフォン

 36歳になったのを機に、24時間・常時接続を辞めた。

 そう、スマートフォンを辞めたのだ。

 正確にはフィーチャーフォン、いわゆるガラケーをメインの携帯電話に据え、スマートフォンをサブに追いやった。そのサブさえ必要なくなれば完全に手放すつもりだ。

 なぜだか分からないけど僕は「勝った!」と声を大に叫びたい。そして、晴々とした心地でこのブログを書いている。

 スマホを辞めて、デジタルガジェットと情報の渦からの脱出に成功した・1はこちら。

スマートフォンはスロットマシン

 WEBの情報は「参考にはなるな」ぐらいのものが大半だし、何も四六時中SNSをやる必要なんてどこにもないのに、なぜ世界中の人々がスマートフォンの画面にくぎ付けなのだろうか。

 それはスマートフォンがスロットマシンだからである。ここでは、僕がスマートフォンを手放すのを後押ししてくれた書籍の内容を、かいつまんでご紹介したい。

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 「こいつはスロットマシンなんです」インタビュー開始からまもなく、ハリスは自分のスマートフォンを持ち上げてそう言う。

 「スロットマシン? どういう意味でしょう」クーパーが訊き返す。

 「携帯をチェックするのは、”さぁ当たりはでるかな”と期待しながらスロットマシンのレバーを引くようなものだからです」

引用:デジタル・ミニマリスト カル・ニューポート著 パート1 スマホ依存の正体

 スマートフォンは、人類が進化の過程で自らが生き延び、子孫を残すために発達してきた「報酬システム」を巧みに利用している。

 例えば食事で満足感を得られるのは、生存のためのエネルギーを摂取したことにより「脳の報酬を司る部分」が報酬を与えているからだ。子孫を残すためのセックスが気持ちがいいのも子孫繁栄のための報酬である。

 話をスロットマシンに戻そう。
 僕はやったことがないけれど、スロットのレバーを引き、当たると派手な演出がありコインがじゃらじゃらと流れでてくる。スロットが趣味の友人がその「派手な演出」が忘れられなくて、長い目でみれば確実に損をするのについつい通ってしまうと語ってくれたことがある。

 派手な演出が忘れないのは、食事の満足感やセックスの充足感と同様に、脳の報酬システムが反応しているからである。

 スマートフォンも同じように、人間に備わっている報酬への欲望を煽り、巧みに刺激し、ハッキングしているのである。SNSに投稿するのは、さながらスロットにコインを入れてレバーを下ろすようなものだ。

 「さぁ、『いいね』がつくかな? シェアされるかな? 当たりがでるかな?」

 スマートフォンは世界の英知とも呼べる優れた開発者らにより、人がもっとも喜びを感じるタイミングで報酬(いいね! やハートマーク)を与え続けるようプログラムされている。そうすれば人々がスマートフォンを手放せなくなり、巨額の利益を生み出すことになるからだ。

 この報酬が途絶えると、僕らの脳は「報酬がなくなった! 生命の危機が訪れている!」と反応してしまう。だからスマートフォンの画面にくぎ付けになる。

 スマートフォンの誘惑は人の本能に訴えかけるから、争い難い――極めて争い難いのだ。

 依存症になっても何ら不思議ではないし、僕のやわな自制心では画面を見たい欲求を抑えられなかった。

 だから”スマートフォンを寝室に持ち込まない”なんていう生優しいチップスじゃ、僕はダメだと考えたのだ。

そうは言っても現代社会で活躍するスマートフォン

ニッチフォン

 とはいえだ、もはや生活インフラと呼べるほど社会に浸透したスマートフォンを手放すと、支障が出るんじゃないだろうか。スマートフォンから距離をおきたい僕だって、下記の点は悩ましい問題だ。

  • LINE
  • 各種電子マネー決済
  • Google マップ
  • 山地図アプリ
  • メルカリ
  • 写真+動画撮影

 LINEは日本のスマートフォンユーザーの中でもっとも使われているメッセージアプリだけに、使わないわけにはいかなかった。スマートフォンを手放したがために、交友関係に亀裂を生じさせるわけにはいかない。

 日頃から便利に使っている電子マネー決済も使えなくなるし、登山の必需品である山地図アプリや、アプリが必要なメルカリの発送手続きはどうしようか……。

 そこで考えた。手始めにLINEをPC版で運用してみよう。

手始めにLINEをPC版に移行した

 2020年の11月11日にスマートフォンからLINEアプリを削除し、PC版に移行してみた。その日から妻とのやりとりは電話かショートメールになった。

 それから3週間以上が経過したが、驚いたことに何ら問題はない。

 多少レスポンスは遅くなるものの、メッセージには半日以内に返事をすれば十分だ、ということが分かった。仕事柄PCの前にいることが多いのも幸いしている。それに本当に緊急連絡のときは電話がかかってくるだろう。

 電子マネー決済はクレッジカードを使えばいい。メルカリや山地図アプリ、そのほか必要なときだけスマートフォンを持ち出せばいいか。

 こう考えると、メインの携帯はスマートフォンである必要性がなくなってしまったのだ。そこで安価なSIMフリーガラケーを購入し、スマートフォンは必要なとき以外、引き出しの奥にしまうことになった。

 11月11日にLINEアプリを削除し、11月21日の手帳には「寝つきがよくなった」と記入している。そしてスマートフォンの画面はとてもまぶしいものだと、初めて知ったのだ。

あると便利なスマートフォンは必需品ではないよ

 もう一度述べるが、僕は仕事で多くのデジタルツールを活用しているし、これからも社会のデジタル化の恩恵に預かることになるだろう。

 しかし、スマートフォンはあると便利な道具ではあるけれど、決して必需品ではない。だから毎年9月に発表される「次のiPhoneは3眼カメラを搭載し、より高精細で云々――」なんていうささいなことに、いちいち反応する必要はないのである。

 スマートフォンへの依存やSNSでのやりとりに疑問を感じているのなら、それを手放すという選択肢も――置かれている状況によっては難しいかもしれないが――あるのである。

 接続されていないことがこんなにも清々しいだなんて。まるで、スマートフォンと過ごした10年の眠りから覚めたような気分である。

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