20代の頃、毎日カレーを食べなけれな気が済まない時期があった。当時住んでいた神戸の地下街に通い、その中にいくつもあったカレー屋を巡っていた。
ついには好きが高じてスパイスカレーを自作するようになり、今日に至る。
そんな私が「カレーが食べたい」とふと思ったときに、ついつい足を運んでしまうのが『インデアンカレー』である。
甘くて辛いインデアンカレー
”インディアン”カレーではない。インデアンカレーだ。
創業は戦後間もない1947年。創業者の母の「戦後の不景気の中で活力のある美味しいものを出す店を創ろう」という思いから店をオープンしたという。
現在では大阪に7店舗を構え、さらに兵庫県の芦屋に1店舗、東京の丸の内に1店舗の計9店舗を構える人気店だ。
私が通うのは、大阪の『三番街店』。
メインのインデアンカレーと、ハヤシライスの2種類のメニューを楽しめる。ちなみに、店舗によりメニュー構成が若干異なり、スパゲッティやピラフを出す店もある。
入り口で『レギュラー(インデアンカレー)玉子入り』を注文し、代金を支払ってから席につく。カレーが780円に、玉子のトッピングが50円なり。
席につくと水とピクルスが用意され、すぐ続いてカレーも目の前に並ぶ。

カウンター内に立ち、ご飯をよそい、カレーをかけてくれる店員は、長年の修行を積んだ人なのだそうだ。
入社してすぐに、客にカレーを出すことはできない。そのぐらい、インデアンカレーでは真剣にカレーに取り組んでいると聞く。
カレーをひとくち、口に運ぶ。
「ん? 甘い」
食べたことがある人なら、これなら小学生でも食べれるなと、一瞬誰もが思うことだろう。
その次の瞬間。
パンチのある辛さが五感を刺激し、すぐグラスに手を伸ばすことになるのだ。
辛い、辛いと額に汗を浮かばせながら、またひとくち食べたくなる。そうしてカレーと水を交互に口へと運ぶ。店員はグラスが空になると、すぐに水を注いでくれる。
インデアンカレーの味は、1947年の創業以来ずっと守り続けているのだそうだ。
時代が遷移したことで多少の調整は加えてはいるが、数種類のスパイスに野菜とフルーツ、選び抜いた肉を使い、ベースとなる味は変わらない。
カレーを食べる。時々ピクルスをつまんで、水を飲む。
無言でこの動作を繰り返し、気づいたときには一皿のカレーを平らげている。
食べているときはあんなに辛かったのに、食べ終わると、ほんのり甘い余韻が残るから不思議なカレーだ。
一度食べるとクセになる不思議な味。カレーが食べたいと思い立ったときに、つい来店してしまう秘密がここにありそうだ。
大阪を訪れた際には、ぜひお立ち寄りあれ。
インデアンカレー『三番街店』
- 住所:大阪市北区芝田1-1-3
- TEL:06-6372-8813
- 営業時間:10:00~22:00
- 定休日:不定休