パーコレーターのコーヒーは本当にまずいのか|パーコレーター、その魅力と使い方

パーコレーター

 パーコレーターほど好みの分かれるコーヒー器具はないかもしれない。

 ある人は「コーヒーはパーコレーターと決めて20年」と、ひどく気に入って愛用している様子だが、またある人に言わせれば、「パーコレーターのコーヒーは薄い割に苦い」のであり、「やっぱりコーヒーはペーパードリップに限るよね」となるのである。

 本当のところ、どうなのだろうか。

目次

 朝日が差し込むキッチンで、パーコレーターに湯を沸かす。手挽きのミルにセットした、お気に入りのコーヒー豆を粗く挽く。そうしてお湯の沸いたパーコレーターにコーヒー粉を入れたバスケットを投入する。

 ポコポコッ、ボゴッ——。

 心地よいリズムを奏でながら、コーヒーの循環が始まる。ここからが真剣勝負だ。上部に沸き上がるコーヒーの色を透明なつまみから見極め、ベストなタイミングで火から下ろす。

 こうして入れた一杯が、僕の朝には欠かせない。

パーコレーターの仕組み

パーコレーター
GSI ステンレスパーコレーター6CUP が僕の愛用品。

 パーコレーターはポット形のコーヒー抽出器具である。フランスで考案され、西部開拓時代のアメリカで普及した。現在ではその単純で頑丈な構造から、主にアウトドア用途に用いられる。

 その仕組みはこうだ。

パーコレーター
ポットの中にコーヒー粉の入ったバスケットをセットし、お湯を循環させる。

 ポットの中には、お湯が通るパイプと、フィルターの役割を果たす細かい穴の開いたバスケットが備わっている。お湯が沸くとバスケット下の空間の圧力が高まり、お湯がパイプを通って上部に噴き上がる。そのお湯がバスケット内のコーヒーを通過し、こうしてポットの中をお湯とコーヒーが循環することで抽出するのである。

パーコレーターのコーヒーはまずい!?

 「パーコレーターで入れたコーヒーはまずい」という話をよく聞く。それはパーコレーターの仕組みそのものが、コーヒーのタブーを犯しているからに他ならない。すなわち、

  • 一度入れたコーヒーは、再度沸騰させてはいけない。

 コーヒーを温め直すべく再び沸騰させると、香りが飛び、酸化した味わいになる。しかしパーコレーターは抽出の間ずっと沸騰させっぱなしだ。しかもお湯ではなく、循環したコーヒーでコーヒーを落とすことになる。これでは繊細なコーヒーは入れられない。

 バスケットがフィルターの役割を果たすといっても無数の小さな穴からわずかにコーヒー粉が流れ出し、コーヒーと混ざる。できたコーヒーはどこか粉っぽい——。

パーコレーター
構造上、どんなに豆を粗く挽いてもコーヒー粉が流れ出してしまう。

 したがって、パーコレーターでは、一般に好まれる「芳醇な香りと豊かなコク、そして苦味と酸味のほどよいバランスを備えたコーヒー」とは、また別物のコーヒーができあがるわけだ。一般的なコーヒーを好む人にとっては、パーコレーターで入れたコーヒはまずい、ということになるだろう。

 ちなみにドリップ式で美味しいコーヒーを入れる基本は「ORIGAMIドリッパー|お洒落で機能美あふれる意匠と、その使い方」を参考にしてほしい。

アメリカンコーヒー好きには◎

 すでに述べたように、パーコレーターではドリップコーヒーのようなコクと香りのあるコーヒーは入れられない。その代わり口当たりが軽く、フルーティーでごくごくと飲める、紅茶のようなコーヒーが入れられるのだ。これこそ——パーコレーターで入れたコーヒーこそ——アメリカンコーヒーだ、という説もある。

 濃く苦いコーヒーが苦手な人に、パーコレーターのコーヒーをぜひおすすめしたい。かくいう僕も、あまり濃すぎるコーヒーが苦手で、ドリップコーヒーでも豆を少なめ、お湯多めで入れる口である。

 アメリカンコーヒーは“アメリカン”と名にあるが、実は日本オリジナルのコーヒーである。エスプレッソやドリップコーヒーをお湯で薄めたもの、あるいは浅煎り豆を粗く挽き、多めのお湯で入れたもの、などさまざまな解釈があるが、要するにやや薄味の、口当たりの軽いコーヒーだということはご存知だろう。これはアメリカの「ウィークコーヒー(弱いコーヒー)」に相当し、パーコレーターのコーヒーがまさしくこれだ。

 それに、パーコレーターは使い捨てフィルターを必要としない。本体はリサイクルにも適したステンレス製であり、頑丈な作りは一生ものだろう。ゴミといえば、コーヒー骸が少し出るだけ——これは、なかなかサスティナブルなコーヒー器具ではないだろうか。

パーコレーターの使い方

  1.  パーコレーターにお湯を沸かす。
  2.  沸騰したら、コーヒー粉を入れたバスケットを投入する。
  3.  沸き上がるコーヒーの色合いを判断し、火から下ろす。(4分以内が目安)
パーコレーター
直火にかけるだけ。この手軽さもパーコレーターの魅力のひとつだ。

 まずパーコレーターにお湯を沸かす。このとき、まだバスケットはセットしないこと。コーヒー粉は沸いてから投入したほうが美味しく仕上がる。(ただし屋外での使用時は面倒なので初めからセットしてしまう)

 お湯の量はパーコレーターの目印を目安に。お湯が少なすぎるとポット内の圧力が十分に上がらず、うまく抽出できない。

パーコレーター
粗挽きのコーヒー粉を入れたバスケットを投入する。

 お湯が沸いたら、できる限り、消えそうなぐらいの弱火にし、バスケットを投入したら蓋をしよう。すぐにポコポコと音を立てながらお湯が蓋のつまみに向かって噴き上がってくる。そして次第に、お湯がコーヒー色へと変化していく。

パーコレーター
すぐにお湯が沸き上がってくる。
パーコレーター
お湯がコーヒー色に変わったらできあがり。

 つまみからコーヒーの色を見極め、頃合いを見て火から下ろす。抽出時間は長くても4分が目安、それ以上煮出すと本当にただ苦いだけの飲み物になってしまう。

 火から下ろし、コーヒーの循環が落ち着いてからそっとカップに注ぐ。あまり勢いよく注ぐとバスケットから流れ出たコーヒー粉まで注がれてしまう。

 ひと口飲む。

 どうだろう。

 ドリップコーヒーとはまた違う、爽やかで果実感のあるライトなコーヒーに仕上がっているはずだ。ほんのりと漂うフルーティーな甘味が僕は大好きで、朝一番に6カップ入れ、午前中の間にごくごくと飲みほしてしまうのである。

パーコレーターにおすすめのコーヒー豆

パーコレーター
手に入りやすい中煎り豆を、粗挽きよりさらに粗く挽くのが僕の好み。

 パーコレーターの魅力を少しでも感じ取っていただけただろうか。もし、「パーコレーターを試してみたい」と考えてくれたなら、ぜひコーヒー豆にもこだわってみよう。

 おすすめは浅煎り豆である。

 浅煎り豆を粗く挽き、パーコレーターで多めのお湯で入れることで、軽やかな香りとほんのりとした甘味を楽しめ、果実味あふれるコーヒーを味わえるのだ。

 ただ、日本では一般的に中煎り以上が好まれるから、浅煎り豆は専門店でなければ手に入りにくい。

 そんなときは中煎り豆だって一向にかまわない。

 パーコレーターに合わせて粗く挽くことで、ペーパードリップの中細挽きとはこんなに味が違うのかと、挽き具合による味の変化を実感できることだろう。

 パーコレーターはアウトドア用のコーヒー器具だと思われがちだが、メンテナンスが簡単で、多くのコーヒーを一度に入れられるとあって自宅でも愛用している。

 パンチの効いた、濃い目のコーヒーはドリップで。軽いコーヒーが飲みたいときはパーコレーターで。

 使い分けてはいるが、最近はパーコレーターの出番が多い。なにせ火にかけるだけでいいのだから、手間がかからないのがいい。

 そしてなにより、愛らしい音を立てながらコーヒーのできあがりを待つ時間が、朝の癒しのひととき——

 ポコッ、ポコポコッ。

 おっといけない、コーヒーが沸いてきたようだ。ここからが真剣勝負である。それでは、良いコーヒーライフを。

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