能率手帳GOLD(ゴールド)

NOLTY能率手帳GOLD(ゴールド)の使い方

 1963年の誕生以来、ビジネス手帳の定番として愛され続けている手帳がある——。

 能率手帳GOLD(ゴールド)、この手帳に出会い、どうやら僕の手帳探しの旅は終わったようだ。

 多くのビジネスマンや文具愛好家に愛される素晴らしい手帳だが、一方で、僕も含めてその生かし方に迷う人は少なくないようである。手帳の使い方は十人十色であり、自由に書けばよいのだが、自由であるからこそ迷うのが心情というものだろう。

 ここでは、能率手帳の使い方に迷う人の一助となることを願い、使い方の一例をご紹介したい。

目次

能率手帳とは

能率手帳GOLD(ゴールド)
ビジネス手帳のスタンダードである、時間目盛り付き週間レフトフォーマットの元祖は能率手帳だ。

 能率手帳とは、社団法人日本能率手帳協会の初代常務理事であり、生産性向上の辣腕コンサルタントである大野巌氏が、1949年に発明した手帳のことである。日本で初めて記入欄に時間目盛りを備えた、ビジネス手帳のパイオニアだ。

 能率手帳が開発された当時、手帳といえばせいぜい備忘録程度の機能しかなかった。百貨店や銀行、証券会社などが顧客のために配布するものであって、わざわざ購入するものではなかったという。

 それが能率手帳を法人会員向けに3,000冊が配布されるとたちまち反響を呼び、市販化されたのが能率手帳の始まりである。

 そもそも日本能率手帳協会は手帳メーカーではない。

 日本のビジネスシーンの能率を高め、生産性を上げることを使命とし、1942年に政界、財界をあげて設立された協会だ。その生産性向上のための思想を、手帳として具現化したのが能率手帳であり、時間管理という概念をビジネスマンに芽生えさせたツールである。

 能率手帳の誕生以来、戦後復興や高度経済成長期の一役を、その思想が担ったと言っても決して言い過ぎではないだろう。

能率手帳の使い方

 僕はフリーランスのWEBライターだ。

 自宅兼事務所で働き、クライアントからの依頼と、その締め切りをベースに日々動いている。だから出社時刻もなければ、決められた就業時間や休憩時間も、休日もない。クライアントとのやり取りはビジネスチャット、面会はオンライン——。

 一般のビジネスマンに比べてかなり特殊な事例かもしれないが、そのことを前提に読んでいただけたら幸いだ。

ガントチャート(月間予定表)には仕事のスケジュールを

能率手帳GOLD(ゴールド)
ガントチャートの行をクライアント、あるいは仕事ごとに区切り、自分なりの記号を決めて記入する。

 今や多くのビジネスマンが種々雑多の仕事を同時進行している。能率手帳GOLDや、同じレイアウトの「能率手帳1」の特色であるガントチャートが、複数の仕事管理に便利だ。

 僕の場合、ガントチャートをクライアントごとに区切り、依頼から締め切りまでの仕事の流れを記入している。例えば。

  • 依頼を受けた日を「依」
  • 締め切りを「〆」
  • 仕事を開始した日を「始」
  • 初稿を納品した日を「初」
  • クライアントの検収中は「検」
  • OKをもらったら「了」

などと、簡略化して書き付ける。こうすれば仕事の進捗状況が一目瞭然であり、スケジュールは当月のガントチャートを開けば、全てを把握できるのだ。

日記欄にはライフログ

 週間レフトフォーマットの、見開きの左側は「時間目盛り付きの日記欄」である。ここには仕事の予定を書き込むのが王道の使い方であろうが、僕の場合、スケジュールは全てガントチャートに記入している。

 そこで日記欄には主にライフログを書き出している。

  • 毎日の体重
  • 起床時刻
  • 食事の記録
  • ジョギングの記録
  • その他、行動の記録など

 日記欄を開けば、その日一日、何をして過ごしていたかが分かるのだ。これは一日一日を振り返り、わずかでも明日を改善するための、とてもよい方法だと感じている。ちなみに手帳やノートを使ったシンプルな時間管理の方法は「いますぐ実践!手帳やノートを時間管理ツールとして活用する方法」も参考にしてほしい。

 ライフログの中で、とくに毎日の体重の記録が体型維持に大いに役立つ。

 僕は登山やランニングの体作りの一環に、糖質制限食を取り入れている。といっても、厳格に実践しているわけではない。原則、夕食は糖質をとらないが、それ以外は「とってもいいが、とらなくてもいい」という程度のゆるい糖質制限だ。

 体重は66kg〜70kgで推移しており、どうやら過去3週間ほどの運動量や食事の量が影響するらしい。

 70kgを超えたら要注意! 糖質制限をより厳しくしたり、ランニングの頻度を増やしたりしながら、体型維持に努めている。

無罫ノートにはアイデアや情報を書き留める

 週間レフトフォーマットの、見開きの右ページは無罫ノートだ。ここには主にアイデアを書き留めたり、気になった情報を書き込んだりして、データベースとして活用している。記事の企画案やひらめき、新聞記事の内容などを、出典と共に記入するのだ。

 外山滋比古先生の『思考の整理学』の中で、アイデアを整理し、空高く離陸させるための方法がいくつも紹介されているが、手帳術にも通じる「ノート・カードの取り方」の章がある。

カードの一枚一枚にかならずつけておかなければならないものが二つある。ひとつは、出典である。何という本の何ページからということを明記しておかないと、カードの価値はないと思ってよい。

引用:『思考の整理学』著 外山滋比古 (Amazonリンク)

 書き方のポイントは、

  • 1ヶ月先の自分が見ても何のメモか分かるように書き
  • 情報の出典を必ず明記する

ことだ。

 手帳のスペースは限られている。

 だからこそ情報がまとまるのだが、気になったことを全て書き留めていては、あっという間に筆記スペースがなくなってしまう。

 そこで気になったキーワードだけをさっと書き留めておき、出典を明記しておく。そうすれば欲しい情報を後からでも探しだせ、こうして自分だけのデータベースが構築されてゆくのである。

年間予定表やメモページ、アドレス帳

 その他、大きな予定は年間予定表に記入したり、手帳の最後の方にあるメモページには、読書の記録を記入したりしている。読み終えた本のタイトルと日付を書いているのだが、それでもメモ欄やアドレス帳のページが余ってしまう。その活用方法は、今後ゆっくり考えるとしよう。

能率手帳GOLDの特色

能率手帳GOLD(ゴールド)

  能率手帳のフラッグシップ「能率手帳GOLD」は1963年に誕生した。現在でもビジネス手帳として不動の人気を誇る、定番商品である。

携帯性、手帳はトイレにも持ってゆく

 アウトドア初心者がつい犯してしまいがちな失敗——。

 「なんとなく頼りがいがありそうだから」という理由で、不必要に大きなナイフを選んでしまうことだ。

 アウトドアにおいて万能刃物であるナイフは、常に携帯してこそ真価を発揮する。大型のナイフは木をたたき切ることはできるかもしれないが、そのような出番は皆無に等しく、本体が大きすぎて、リンゴの皮などとてもむいていられない。もし、くつろいでいるときにナイフを邪魔に感じるようでは、そのナイフは大きすぎるのだ。

 手帳も同じことが言えるのではないか。

 手帳は常に手元にあってこそ真価を発揮する。だから僕は手帳をトイレにも持ってゆく。

 中国の政治家であり文学者、欧陽脩が残した言葉に「三上」がある。すなわち馬上・枕上・厠上、これらは文章を考えるのに都合のよい場所として挙げられた。馬に乗っているとき、寝床に入っているとき、それにトイレの中——つまり良いアイデアは思いもよらぬ場所で思いつくものだということ。

 例えば通勤中(馬の上)、何か妙案が浮かんでも、「後でメモをしよう」では絶対に忘れる。その場ですぐ書き留めるには、携帯性が欠かせない。

 能率手帳GOLDのサイズは旧官製ハガキと同サイズであり、A6(文庫本)サイズに近い。ハガキを手帳に携帯できたのだ。ハガキが通信手段の中心にあった当時のビジネスマンは、取引先へのお礼をさっとハガキにしたためたという。

 文庫本ほどのサイズであれば、スーツの内ポケットにも収まり、携帯が苦にならない。常に携帯しておけば、手帳の活躍の場は大いに広がるのだ。

堅牢性に優れた製本

能率手帳GOLD(ゴールド)
堅牢な製本と24金加工小口、革装が、長年の保管を約束する。

 手帳は、おそらく1年の間に、数百回も数千回も閉じたり開いたりするものだろう。それに1年使って終わりではなく、その後も保管し、見返すものである。優れた手帳は、それに耐えうる堅牢性を備えていなければならない。

 能率手帳GOLDの製本は百科事典レベルである。

 通常の書籍より、よほど堅牢にできている。小口には24金加工が施され、美しさと、汚れを防ぐ機能を兼ね備える。

 革装には「ヤンピー(インド産の羊革)」が採用され、丈夫かつしなやかで、しっとりと手になじみ、長期の保管にも耐えうる堅牢性を備えている。

視認性と書き心地

 クリーム色の紙と、グリーンとオレンジの罫線は能率手帳ならではのものだ。太陽光やLED照明、各種光源のもとで目に優しく、視認性が高い。罫線が見やすく、しかし主張しすぎないため、罫線を無視して書き込むこともできる。

 とくに能率手帳GOLDの紙は、王子製紙と開発した特漉き用紙を採用し、万年筆やボールペン、シャープペンなど、種々の筆記具で書きやすいようバランスが調整されている。もちろん万年筆でも裏抜けは見られない。

綴じ手帳だからこそ情報がまとまる、振り返りができる

能率手帳GOLD(ゴールド)

 これまでにさまざまなノートや手帳を使ってきた。システム手帳にトラベラーズノート、コクヨ野帳、ほぼ日手帳など多岐にわたる。

 しかしどうやら手帳探しの旅も終わり、能率手帳GOLDに落ち着いた。

 週間レフトフォーマットの綴じ手帳。

 一見、何の変哲もないスタンダードな手帳だが、綴じ手帳だからこそ情報がコンパクトにまとまり、振り返りができるのだ。

 綴じ手帳のデメリットは、自由にリフィルを追加できるシステム手帳と違い、筆記スペースが限られることだろう。当初これが不安点だった。だからこそこれまで、スペースに限りのないノートや手帳を使ってきた。

 だが思い返してみると、際限なくあれもこれもと書き込んだノートはかえって混沌としてしまい、書いたものの後で見返すと、何の情報なのか分からないメモもたくさんあった。これはデジタルでも同じことがいえ、クラウドサービスになんでもかんでも保存していると、僕のDropboxは情報のゴミ箱と化してしまった。

 能率手帳GOLDのように、書き込みスペースが限られていると、無意識に書く内容を選別しているのだろう。

 3ヶ月前のページを見返してみても、本当に必要な情報がコンパクトにまとまっていることに気がついた。それに万が一スペースが足りなくなれば、補充ノートを追加すればいいだけの話だ。

 手帳は書いて終わりではない。

一日を振り返り、明日をもっとよくしようと生きること。それは、夢物語のような遠い目標を掲げて、何から手をつけようかと迷うよりも、よっぽど充実しています。

引用:『能率手帳の流儀』著 野口晴己(Amazonリンク) 

 夜、布団の中で読書ライトの灯りのもと、手帳を時々見返している。これまでに書いたことは、だいたい実現している。まだできていないことも、すぐにリスト化できる。過去の自分がどうで、この先どうすべきかを、手帳が教えてくれるのだ。

 ——こうして手帳に書き込んだひらめきを、手帳の中で熟成させ、ノートでより深く広げ、最終的に原稿としてアウトプットする。試行錯誤してきた手帳・ノート術も、30代半ばを過ぎてようやく着地点を見つけられた。

今こそ紙の手帳を

 多様なデジタルガジェットやITツールが氾濫する現代において、僕はあえて紙の手帳を使っている。

  • いつでも携帯できて
  • 電源もいらず
  • インターネット環境もいらない
  • 手帳とペンがあれば、あらゆる環境で使用できる

からだ。

 もちろんスマホのカレンダーやメモアプリも便利であることは認める。手帳あるいはメモ帳やノートなんて、スマホで十分だという人もいるだろう——いや、もはやそのほうが多数派か。

 しかし僕は、紙に書くことで、その中身をしっかりと頭に刻みこめることを実感している。この体験はきっと僕だけではないはずだ。それを裏付ける、紙と手書きの優位性を実証した研究も発表されている。

覚えやすさ スマホより紙 東大など研究 短時間で記憶定着 

東京大などの研究チームは19日、紙の手帳にスケジュールを書き留めると、スマートフォンなどの電子機器を使う時よりも短時間で記憶でき、記憶を思い出す時には脳の活動が高まることがわかったとの研究結果を、海外の専門誌に発表した。紙の教科書やノートを使った学習の効果が示された成果としている。

(中略)

チームの酒井邦嘉・東大教授(言語脳科学)は「教育現場で電子機器が多用されているが、紙媒体による学習の方が、記憶がより定着しやすいことが示された。脳で扱える情報が多くなることで、豊かな創造性にもつながるはずだ」と話す。

引用:読売新聞2021年3月20日 

 僕にとって手帳とは、人生という長い旅路を歩ききるための地図でありコンパスであり、暗闇を照らす灯台のようなものである。この灯りは、この先いくらデジタルツールが発展しようとも、決して消えることはないのである。

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