フルマラソン経験者が語る、挫折しないランニングの始め方

 「運動不足を解消するために、ランニングを始めてみようかな。でもつらそうだし、うまく続かなかったらどうしよう……」

 事実、デサントの2014年の調査によると、ランニングを始めた人が6ヶ月以内に挫折する割合は68%に上るという。

 ランニングが続かない理由は、無理をしたり楽しむための対策をしていなかったりして、モチベーションを維持できないのが要因のようだ。

 断言するが、ランニング=つらいではない。

 ここでは、運動経験は少ないが、ンニングを始めようと考えている人に向けて、僕の実践するゆるいランニング方法と、ランニングを楽しむコツをお話したい。

目次

もと喫煙者である管理人の運動経験

  • もと喫煙者
  • 身長178cm
  • 20代当時、体重80kg
  • 運動経験:中学のバスケ部、時々ハイキング

 中学時代はバスケ部に所属していたが、それ以降は部屋やスタジオにこもり、音楽の勉強に費やしていた。その間運動は皆無といっていい。
 社会人になり、低山ハイキングやサイクリングをときどき楽しむように。そこで一度ランニングを始めるもひざ痛で挫折した。そして体重が80kgに!

 ハイキングを再開し、もう少し体力がほしいと思ったのが28歳のときだ。近所の公園で適当に走り始めた。そして、当時ちょっとしたブームだった膝が痛まない走り方(ベアフットランニング)を発見する。

 膝が痛まないことがうれしくなり、ランニングに徐々にのめり込み、気がついたときにはタバコを辞めていた。全力で走った後の一服はまずかったのだ。

 それ以降 本格的に神戸六甲山や関西の低山に出かけ、トレイルランニングも始める。

ランニングサークルに参加

 32歳でランニングサークルに参加し、その年に参加した初マラソンで3時間29分を記録。

 ランニングサークルに参加したとはいえ、いつもトレーニングをしている訳ではない。僕は走りたい時に走りたいだけ走る。5kmのときもあれば、30km走る日もある。

ランニングを始めるメリット

Photo by Kalen Emsley on Unsplash

 ランニングはもちろん、運動全般は心身ともに健康へと導く効果が証明されている。

身体活動量が多い者や、運動をよく行っている者は、総死亡、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの罹患率や死亡率が低いこと、

…… 長期的には10分程度の歩行を1日に数回行なう程度でも健康上の効果が期待できる。

家事、庭仕事、通勤のための歩行などの日常生活活動、余暇に行なう趣味・レジャー活動や運動・スポーツなど、全ての身体活動が健康に欠かせないものと考えられるようになっている。

身体活動・運動|厚生労働省

大事なのは「長く続けられる強度の運動を実施して、その量を今よりも少し増やすこと」。

心地よいと感じる強度で有酸素運動を続けることによって、セロトニンなどの神経伝達物質(神経と神経で連絡を取り合う物質)が分泌されるのです。

セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、脳の中で感情や記憶を司る部分にセロトニンが伝達すると、精神的な落ち着きが得られると言われています。

言い換えれば、セロトニンなどの神経伝達物質が不足した状態だとストレス過多になりやすく、最悪の場合はうつ病などにつながるのです。

引用:スポーツ庁web広報マガジンDEPORTARE

 僕自身、ランニングを始めてから小さなことでクヨクヨ悩むことがなくなったように思う。

 生活の変化も起き始めた。それまでは最大の楽しみが「休日前の夜のお酒」だったのが「休日にランニングやハイキングを楽しむこと」に変わった。

 早寝早起きが習慣になり、気づいたら体重も80kgから65kgまで減量できたし、タバコもいつの間にか辞めていた。

 デメリットといえば、無理をすると故障することぐらいか。自分の体と相談しながら楽しくランニングを続ければ、人生を変えられると言っても過言ではない。

ランニングはなぜつらいのか

ランニングを始めて6ヶ月以内に辞めてしまう、“燃え尽きたランナー”が67%にものぼることが明らかになりました。

引用:デサント

 僕は「1万円払って、つらいマラソンに参加するのが理解できない」と言われたことが多々ある。それだけ「ランニング=つらい」というイメージが定着しているように思う。

 僕でさえランニングといえば部活動の罰ゲームのようなイメージがあったのだ。それはひとえに、無理なペースと距離・時間を走らされたからではないか。ゆっくり走る=サボっているとみなされたからだ。

 しかし、ランニングを楽しむ市民ランナーは——少なくとも僕のまわりのランナーは——無理をして走ることはほとんどない。ランニングが好きで、純粋に楽しんでいるのだ。

ランニングを楽しむための6つのポイント

Photo by Curtis MacNewton on Unsplash

 ランニングを続ける一番の方法は「ランニングを好きになる」ことだ。では、どうすれば好きになれるだろうか? 

 まずはつらいイメージを払拭し、楽しむことから始めよう。そのためにはウォーキングから徐々に体を慣らし、そしてランニングへのハードルを限りなく下げること。さらにランニング仲間を作ることがポイントだ。

1.まずは歩く・階段を使う

 僕はまず歩くことから始めた。
 もともと自然が好きで、よく神戸六甲山の超初心者向けコースを歩いていた。それでも始めの頃はヘトヘトになり翌日には筋肉痛に襲われたものだ。

 山に出かけなくても通勤でひと駅ぶん歩いたり、休日に近所を散歩したりと歩くことならすぐに始められる。そしてなるべく階段を使うように心がけよう。

 始めは面倒に感じるが、慣れてしまえばどうということはない。なるべく階段を使うことは現在でも意識して続けている。

2.毎日走らなくていい

挫折したランナーは、ランニング開始当初、毎日(24%)、2日に1回(21%)と頻度高く走っていたのに対して、現在も継続できているランナーは、3日に1回(38%)が最も多く、逆に毎日走っていたランナーは4%に留まるなど、あまり意気込み過ぎず、適度に休足日を設けながらランニングを始めたことが明らかになりました。引用:デサント

 初心者がランニングを続けられない要因のひとつは「毎日◯km走る」といった目標を立ててしまうことだ。

 無理がたたって故障し、二度とシューズを履くことはない。運動経験豊富な人ならともかく、まだ走る体ができていないうちに無理をするのは逆効果だろう。

 普段はなるべく歩く時間を確保し、気分転換でちょっと走りたい時に走る。これぐらいがちょうど良さそうだ。

3.速く走らなくていい

 今からランニングを始めようとしているあなたは誰かに無理やり走らされるのではないし、オリンピックを目指すわけでもない。だから速く走る必要は全くないのだ。では、どの程度のペースで走ればいいのか? 

 答えは会話が無理なくできるペースで走ればいい。息が上がって会話ができないようだと、それはペースが速すぎる証拠だ。

4.長い距離を走らなくていい

 始めは1kmも走れば十分である。僕も1kmが限界だった。それが厳しいようなら500mでもいい。大事なのは自分に無理なく楽しく続けることである。

 もし1kmで物足りなくなったら、1.5km〜2kmと少しずつ距離を伸ばしていこう。そうやって続けていれば、フルマラソンの完走だって決して夢ではない。

5.専用ウエアや小物は必須ではない|必要に応じてそろえよう

 「ランニングを始めるために、まずは道具をあれこれそろえよう」といった広告を見かけるが、本当にそうだろうか?

  • ランニングシューズ
  • 動きやすい服装
  • 走りたい気持ち

 ランニングを始めるにはこの3点があれば十分である。シューズだけはランニングシューズを選ぶべきだが、実際あとは何でもいい。僕は無印良品の短パンと綿シャツで走ることもある。

 給水ボトルポーチも必須ではない。なぜなら初心者は給水が必要な距離(10km以上)をまず走れないからだ。どうしても水分が欲しければ、500mlのペットボトルを手に走ろう。

 ただし、高機能なランニンググッズを使った方が快適なのは間違いない。汗をかいてもすぐに乾くし、パンツには小物を入れるポケットが付く。GPSウォッチで走った距離や消費カロリーを計測すれば、モチベーションも上がるだろう。もしiPhoneユーザーなら、モチベーションの維持を助ける習慣化アプリを使ってみるのもひとつの方法だ。

 しかし、ランニングの魅力のひとつは特別な道具を必要とせず、思い立ったらすぐに始められることだ。シューズと動きやすい服装、それに走りたい気持ちがあればそれで十分である。

6.ランニング仲間を作ろう

サークルのメンバーとトレイルランニングに出かけた時の1枚。左から2人目の、赤いタンクトップが管理人。

 ランニングサークルに加入するまでは、ほとんどひとりで走っていた。それでも十分楽しめたが、ランニング仲間ができて世界が変わった。サークルに加入していなければ、フルマラソンを走ることはなっかたと思う。

 僕が所属する「千里ランランクラブ」には、フルマラソン3時間を切る猛者が多数、トライアスロンの日本代表選手、バーチカルランナー(スキーのジャンプ台のような斜面を駆け上がっていく!)などベテランから、僕のように適当気分屋ランナーまで集まっている。

 同じ趣味を通じてさまざまな人と交流できるのだ。それまでは友人を除くと仕事関係の付き合いがほとんどだったが、サークルに加入して間違いなく視野が広がった。

10km走れるようになると世界が広がる

 初心者にとっては10kmがひとつの壁のように思う。これはランニングを楽しく続けていれば、自然と走れるようになるので安心してほしい。

知らない場所を走りたくなる

 普段、近所の河川敷や公園を走っているとしよう。10km走れる走力がついたころにはそのコースに飽きている。

 すると「〇〇の海岸線は景色もよく歩道が広くて走りやすいよ!」と情報が耳に入る。休日を使って”わざわざ”走るために遠征し、帰りにお風呂に立ち寄る。

 走り始める前は、走るために出かけるなんて考えられなかったが、今では最高の楽しみのひとつとなった。だからひとまず10km走れるようになるまでは、辞めずに続けて欲しいと思う。

レースに出場

 10km走れるとレースへの参加も視野に入る。ランニングのレースといえばフルマラソンが花形だが、5km〜10kmの短い距離のレースもあるのだ。

 距離が短いから、参加費用も数千円もあれば十分。日頃の練習の成果を試すいい機会になるだろう。

トレイルランニング

 平地の10kmを無理なく走れれば、2〜3時間のトレイルランニングも楽しめる。トレイルランニングとは、山や森林公園などの舗装されていない道を走るスポーツである。

 「山を走るなんてキツそう……」と思うかもしれないが、急な登りや下りは歩けばよく、フラットな走れるところだけ走ればよい。

 僕に言わせれば平地を走り続ける方がよほどキツい。早朝の凛(りん)とした空気の中、静かな森を走り抜ける感覚を味わうともう辞められない。

フルマラソンに挑戦

Photo by Mārtiņš Zemlickis on Unsplash

 「フルマラソン? あんなの限られたアスリートでないと走れないだろう」と思っていた。32歳になるまでは。

 フルマラソンは、走るのが楽しく面白いと感じる人なら誰でも完走できる。東京マラソンを皮切りにランニング人口が一気に増えたのは記憶に新しいが、なるほど、フルマラソンには人々を魅了する何かがあるのだ。

 ”何か”はまだ答えが見つからないが、ただつらいだけのものなら、大勢の人が参加するはずがない。

 いずれにせよ、僕のように運動経験がほとんどない人でも好きで続けてさえいれば、フルマラソン完走も夢ではないことを伝えたい。

今日から走り始めよう

 ランニングを始めようか迷っている人は、迷っている時間が無駄である。15分もあれば走れるからさっさと始めてしまおう。必要なものはこの3点。

  • ランニングシューズ
  • 動きやすい服装
  • 走りたい気持ち

 きっと、今までとは違う世界が見えてくる。

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