大切な靴にカビが生えてしまった、という経験はないだろうか。革靴はカビにとって栄養の宝庫であるため、よく起こるトラブルのひとつである。放っておくと臭いの原因にもなりかねないため、なるべく早く対処したい。
実は、正しいお手入れ方法さえ知れば、自宅で簡単にカビを除去できるのだ。ここでは、元靴職人の管理人が、カビと臭いの除去方法を詳しく解説する。
目次
革靴は雑菌の栄養源

革靴についたホコリや水分、汚れなどは、全て雑菌の栄養源である。履き終えた後は速やかに汚れを落とし、雑菌の繁殖を防ぎたい。
中でも厄介なのがカビである。雨にぬれた靴を放置したり、保管方法がまずかったりすると発生しやすい。カビは不衛生であるばかりか臭いの原因にもなり、革の繊維に深く浸透すると取り除くのが困難だ。
カビが発生してしまったら、正しいメンテナンスを施そう。雨の後のお手入れは「革靴が雨にぬれた!お手入れ方法を写真で解説」を参考に。
革靴のカビ、臭いを取り除く方法

カビの除去には『消毒用エタノール』を使用する。ウエスに含ませて靴全体を拭きとれば、臭いの原因もあわせて除菌できる。
1.ホコリ、カビをブラシで落とす
通常のお手入れと同様、まずは表面の汚れやカビをブラシで払い落とそう。カビが飛び散る恐れがあるので、なるべく屋外で作業したほうがいいだろう。もしくは次のステップに進み、ウエスで拭き取ってもかまわない。
2.消毒用エタノールで拭く

表面のカビを落としただけでは、確実に除菌できたとは言い難い。消毒用エタノールをウエスに含ませて、靴全体をよく拭こう。

靴の表面はもちろん、靴の内部や底も丁寧に拭き取ること。
このとき、色の薄い革やデリケートな革は、まず目立たない場所で試し拭きをしてほしい。シミになる可能性があるからだ。
3.通常のメンテナンス

除菌を終えたら、あとは通常のメンテナンスと同様に靴を磨く。改めてクリーナーで汚れを落とし、デリケートクリームと乳化性クリームで栄養を補給する。その後はブラシでクリームをよくなじませ、ウエスで余分なクリームを拭きとれば完成である。詳しい靴の磨き方は「靴の手入れ|靴磨きの基本と10年履ける靴の選び方」を参考に。

革靴は保管方法にも気をつけよう
靴のトラブルの原因は、湿気であることが多い。靴の保管は湿気を遠ざけることがポイントである。
カビの他に、革靴の底や内側がボロボロになってしまうことも湿気が原因である。トラブルを防ぐためには、なるべく風通しのいい場所に保管することが大切だ。決して靴を箱に入れて保管してはならない。
雨にぬれた靴はよく乾かし、メンテナンスをする。長期間保管する場合はときどき陰干ししてから栄養補給をすれば長持ちするだろう。
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カビの発生は革靴によくあるトラブルのひとつだが、消毒用エタノールを使えば簡単に除去できる。とはいえ、革に浸透してしまうと除菌は困難だ。カビはなるべく早く対処し、カビの発生を防ぐ保管方法が大切である。この記事を参考に、靴の状態を確認してみよう。