情報収集をネット検索やSNSだけに頼ると危険な理由と正しい情報を得る方法

 とあるWEBメディアからライティングの依頼を受けた時のこと。クライアントの指示通りの成果物を納品し、報酬を頂いた。特に修正箇所もなくスムーズに仕事が進んだように思えたが、何かがひっかかる。

「そういえば、情報の参照元を聞かれていないなぁ」

 提出した文章には情報の参照元を私に聞かなければ確かめようのない情報が記載されていた。もちろん誤った情報を提出したわけではないが、腑に落ちない。気になってそのメディアの記事を漁ってみると、どう見ても信憑性の疑わしい記事が散見された。

 そのメディアには『ライターが提出した文章の、情報の精度を確認するシステム』が備わっていなかった。小手先のSEO(検索エンジン最適化)テクニックを駆使し、検索結果の上位にランクインさえすれば内容は二の次といった様相だ。

 以来そのメディアの仕事は受けていない。2019年現在においても、そのようなメディアが存在するのが実情である。

目次

WEBやSNSの情報が正しいとは限らない具体的な事例

ウェルク(WELQ)問題

 2016年11月29日、株式会社ディー・エヌ・エーが、自社が運営する医療情報キュレーションサイト(まとめサイト)『WELQ』のすべての記事を非公開にすると発表した。人間の健康や生死に関わる重大な医療情報について、誤った情報を大量に発信していたからだ。

 ウェルクは、Google検索および読者をだまし、ブラックなSEO手法でアクセスを集め、広告媒体としての価値を高めることで収益を上げていた。

 2019年現在は、度重なるGoogleのアップデートによりこのような手法は通用しなくなっている。それでも、冒頭で述べたようなメディアが依然として生き残っているのだ。

常磐自動車道あおり運転事件

 2019年8月10日に起きた、茨城県の常磐自動車道であおり運転を受けた後に男性が殴られた事件で、無実の女性がネット上で誹謗中傷を受けるという事態が発生した。

 なぜ無実の女性に疑いがかけられたのか。その理由は、常磐道あおり運転事件の加害者と同乗していた女性と、服装が似ていたこと。加害者の男性と無実の女性がSNS上でつながっていたこと。この2点である。

 冷静に考えればこの2つの情報だけで人物を特定できるはずがない。しかし、SNSやトレンドブログ(話題となっている時事ネタを扱うブログ)に根拠のない誤った情報が流され、情報の真贋(しんがん)を見極めようとしない人々によって、またたくまに拡散してしまったのだ。危険なあおり運転に対する怒りが、冷静な判断力を鈍らせたのだろう。

 デマを流された女性は記者会見を開き、誤った情報を拡散した人々に法的措置を検討するとした。

香港デモ ツイッター不正アカウント削除

 2019年8月19日、米ツイッターとフェイスブックは、香港で続くデモを妨害する目的で情報操作に利用されていた不正アカウントを削除したと発表した。さらに、虚偽情報を増大させる目的で作成された20万もの別アカウントも、先を見越して凍結したということだ。

 ツイッターやフェイスブックは、有益な情報を発信してくれるアカウントをフォローすれば、情報収集に大いに役立つと思う。フォロアー同士の交流も楽しいものだ。しかし、僕はこのニュースを気に”過った情報を取らないこと”を選択し、ツイッターアカウントを削除した。

日々の情報は新聞や公共放送から得る

新聞は、もっとも信頼できる「二次資料」

日々「読むこと」の基本は、新聞で生の情報を調べることだ。

引用:調べる技術 書く技術 佐藤優 著

 日々の情報は、新聞や新聞社のWEBサイト、または公共放送であるNHKのWEBサイトから得ることをおすすめする。毎日のニュースをネット検索やSNSから得ている人は多いことだろう。ネットの情報は、確かに鮮度やスピードでは他のメディアには敵わない。

 だが、すでに述べたように誤った情報をとるリスクも存在する。自分好みの偏った情報しか入ってこないこともデメリットである。

 その点、新聞は世の中にあふれる情報の中から、社会生活を送るのに必要な情報を、”情報のプロ”が取捨選択してまとめてくれている。これなら取得する情報が偏ることもなく、ネットのまとめサイトを閲覧するより、はるかに効率が良いと言えるだろう。

 僕の場合は、NHK NEWS WEB を中心に、NHKラジオニュース、読売新聞オンラインなどを日々確認している。

信頼のおけるWEBサイトかどうかを見抜くには

 とはいえ、ニュースサイト以外から得たい情報もあるだろう。その場合は、そのサイトや情報が信用できるサイトかどうかを見抜く必要がある。

まずは公的機関のサイトや公式サイトを確認する

 まず、調べたい事柄については公的機関のサイトや公式サイトの情報を確認しよう。例えば、消費増税における軽減税率について知りたい場合は、国税庁のサイトが最も信頼できる。ある商品の情報を知りたい時は、製造元の公式サイトを確認するといった具合だ。

運営者や記事の執筆者は誰か

 それ以外のサイトを閲覧する時は、下記のポイントを確認しよう。

  • 管理者・運用元がはっきりしていること
  • 誰が作成、執筆したコンテンツかを確認する
  • WEBサイトとしての体裁が整っているか
  • 翻訳ツールで無理に変換したような、おかしな文章ではないか

 ネットを閲覧していると、一見、企業が運営しているようだが、問い合わせフォームが見当たらなかったり、企業情報があまりにも少なかったり、機械で生成されたようなおかしな文章で記事が構成されていたりするサイトを見つけるときがある。そういったサイトに限ってデザインだけはおしゃれで、”きちんと感”を演出しようとしている。

 単に「クスッと笑えるおもしろ画像」のようなものを探している時は問題ではないだろう。しかし、ある事柄について正確な情報を知りたい時は、少なくとも上記のポイントに注意すべきである。

 ネットの情報には有益なものもあるが、デマや誤った情報もあふれている。情報収集をネット検索やSNSだけに頼っていると、それだけ騙される可能性も高まる。やはり、公共放送や新聞、官公庁、企業の公式サイトなどが最も信頼できると言えるだろう。

 そして、ネットを利用する時は「その情報が正しいかどうか」を考える癖をつけ、SNSのリツイートやコメントを投稿する前には、その影響に配慮すべきである。ぜひ「WEBライターが絶対に信用しないWEBサイトとその理由とは」も参考に。

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