悪質サイトにだまされない「ググる」以外の情報収集術

 昨今、WEB上の偽情報を信じたことがある人は、僕も含めて決して少なくない。

 読売新聞の全国世論調査によると、コロナ関連のデマやフェイクニュースが飛び交う中、23%がネットの偽情報を信じた、と答えたという。ただ検索ボックスにキーワードを入力したり、SNSのフィードを読んだりするだけでは、誤った情報をつかむことがある。ではどうすれば、正しい情報を得られるだろうか——。

 実は何も難しいことはない。

 正しい情報がどこにあるかを知ればいいだけのことなのだ。

 正確な情報のありかが分かれば、悪質なアフィリエイトサイトや荒唐無稽な陰謀論に、踊らされることはなくなるだろう。

目次

暮らしの情報は新聞から得る

新聞は、もっとも信頼できる「二次資料」

日々「読むこと」の基本は、新聞で生の情報を調べることだ。(中略)政府の発表などを一次資料とすれば、新聞は、取り上げるべき一次資料を選別し、一般読者向けに噛み砕いて掲載している二次資料だ。

引用:『調べる技術 書く技術』佐藤優(元外務省主任分析官)著(Amazonリンク)

 今やニュースは手のひらの中で、無料で手に入る時代だ。有料の新聞は、真っ先に家計節約の対象になっても不思議ではない。

 僕も20代でスマートフォンを手に入れてから、雑誌や新聞なんてもう古いと言わんばかりにSNSやクラウドサービスに飛びついた。テクノロジーを駆使し、インターネットでの情報収集をいろいろと試してきたつもりだ。

 その結果——僕のクラウドサービスは情報のゴミ箱と化し、SNSからは自分好みの偏った、あるいは誤った情報しか入らず、閲覧数やシェア数を稼ぐための刺激的なタイトルに24時間さらされることになった。そうして、せっせと集めた“つもり”の情報からは何ひとつ学ぶこともなく、何も身につかなかった。

 やはり新聞がいい。

 改めて新聞の購読を始めたのが2019年の秋だった。

 新聞は社会人が生活に必要とする情報がコンパクトにまとまっている。信頼性も高い。専門知識がなければ読みこなせない情報を、記者が一般向けに易しい文章で解説してくれる。政治・経済のみならず、歴史や文化、あるいは人生相談や懸賞付きのパズルなども掲載され、幅広い情報や教養を得られる上に、隙間時間を楽しめる工夫もされている。

 一面には各社がもっとも重要だと考える記事が大きく掲載され、熟読しなくても、タイトルを見るだけでおおよその内容がつかめる。何が大切な情報か一目で判断がつき、読めばより深く理解できる。

 それが1日あたり缶コーヒー1本分相当の料金で手に入るのだから、決して高いとは思わない。

 真夜中のネットニュースより、翌日の朝刊だよ。僕はつくづくそう思う。

調べ物に過去記事検索が便利

 新聞を購読するか、あるいは図書館のデータベースを利用すれば、過去の新聞記事を検索できる。これが調べ物に大変便利だ。

 例えばつい最近の仕事で「コロナ禍でアウトドア需要が高まっている、しかしトラブルには気をつけよう」という趣旨の記事を書くことがあった。僕としては、“コロナ禍でアウトドア需要が高まっている”ことを証明する根拠が欲しかった。

 そこで新聞の過去記事検索だ。

 予想どおり、コロナ禍で人気が高まるアウトドア関連の記事が多数ヒットした。そして記事にはたいてい根拠となる一次情報が記されているから、新聞記事を手がかりに、一次情報を探しだす。見つけたのが、一般社団法人日本オートキャンプ協会による『オートキャンプ白書2020』だった。

 『オートキャンプ白書』は国内で唯一オートキャンプについて調査分析したレポートだ。この情報により、晴れてコロナ禍でアウトドア需要が高まっていることを数字で確認でき、一次情報を示すことで、読者にとっても説得力の高い記事を書くことができたのだ。

 これは何もアウトドア分野に限った話ではなく、あらゆる分野に応用できる。何か調べ物をするときは、新聞記事を手がかりにするのも有力な方法であるのだ。

公的機関や公式サイトで調べる

 インターネットでの情報収集にまず活用したいのが、公的機関のサイトや、公式サイトである。例えば、

という具合だ。

 ただ、公的機関のサイトをのぞくと分かるが、内容が専門的でちょっと難しい。だからこそ、平易な文章で解説してくれる新聞がありがたい。

 その他、ある商品やサービスについて知りたいときは公式サイトが確実だ。

 が、公式サイトでは分からない、個人の意見や感想を知りたいこともあるだろう。その場合は信頼できるメディアや、個人サイトを調べることになる。

信頼できるメディアや個人サイトで調べる

 公式サイトでは普通、自社のマイナスになるようなことは掲載しないだろう。しかし消費者としては、検討している商品やサービスの、消費者目線の意見を知りたいこともある。

 そんなときは、その分野に精通したメディアや、権威ある個人サイトを調べることになる。問題は、何を持って信頼に足るメディアとするか、という判断基準だ。

  • 自社で画像を用意していること→きちんと取材している
  • 運営元がはっきりし、連絡が取れること→問い合わせフォームがある
  • 記事の執筆者の名前や経歴が分かること

 WEBで仕事をしている僕の意見としては、概ね上記の基準をクリアしているメディアは信頼できると考えていいだろう。

広告収入のみを目的とした悪質なサイトに要注意!

 やっかいなのが、自称メディアを謳う「まとめサイト」が、検索結果の上位を陣取っていることだ。その中で、フリー素材サイトからの引用画像や、SNS(例えばインスタグラム)の埋め込み画像しか用意できないようなサイトには、とくに気をつけたほうがいい。

 自社で画像が用意できないのは、取材をしていないからだ。

 そのようなメディアは大抵、WEBで集めた薄い情報を、上書きして掲載しているにすぎない。ぱっと見はメディアとしての体裁が整えられていても、中身はすっからかんで、誤った情報や嘘の情報を掲載していることさえもある。

 僕は実際に、そのようなサイトからの依頼を受けたことがあるが、あまりにずさんな編集体制に辟易し、すぐに辞めてしまった。

 大手ネットショップのレビューや、「体験者の声」なども、残念ながらうのみにはできない。

 これらの中には、有権者を買収して票を金で買う悪徳政治家のごとく、星5つのレビューや嘘の体験を金で書かせる業者もある。読者をだましてでも収入を得たいサイトがあるということだ。

 勘違いしてほしくないのは、WEBの情報の全てが悪ではないということ。誠実に運営しているWEBメディアだってもちろんある。

 ネットの情報は手軽に調べられ、伝達スピードも早い。

 しかし、検索結果の上位に表示されるからといって、その中身が正しいとは限らないということ。情報を受けとる側も気をつけて判断しなければならない。

 とはいえだ。

 自分が精通している分野であれば嘘を見抜けるが、専門外の分野で、さもそれっぽい記事が掲載されていたら、きっと僕だって判断がつかないだろう。

 やはり情報の確度の観点から見れば、新聞や、次に紹介する百科事典、書籍のほうが、よほど信頼できるといえるのだ。

百科事典や書籍で調べる

 WEB上には信頼できる情報もあれば、そうでないものもある。そこで今も昔も調べ物に活用したいのが、百科事典や書籍だ。

 例えば有名な『ブリタニカ国際大百科事典』では、ノーベル賞受賞者や一流学者が執筆協力し、学術的に高い評価を受ける。百科事典というだけあって大抵のことは調べられるし、それでも足りない情報は、百科事典に記されている一次情報をたどるといいだろう。

 書籍はWEBの情報とは違い、一度世に出ると内容の修正が困難であるから、複数の目で事実確認を経て出版されている。その点で、スピードはWEBにはかなわないが確度は書籍が上だ。

 僕は百科事典を電子辞書で使っているが、WEB上で、しかも無料で使える。

 他にもジャパンナレッジという有料会員制の辞書サイトもある。僕が住む大阪では図書館でジャパンナレッジのサービスを無料で利用できるから、こちらもたまに活用している。

 以上のように、正しい情報を得るのは難しいことではない。正確な情報がどこにあるかを知ればいいだけのことなのだ。ここでもう一度おさらいしておこう。

  • 新聞はもっとも信頼できる二次情報
  • 公的機関や公式サイトを調べよう
  • WEB上の情報をうのみにせず、信頼できるメディアを選別する
  • 今も昔も、調べ物は書籍や百科事典が活躍する

 あなたの周りにもこんな人はいないだろうか?

 「ちょっとWEB(あるいはSNS)で検索しただけで、知った気になっている」

 ——それはあまりにも危険すぎる。

 そんな人を見つけたら、ぜひこのブログの内容を教えてあげてほしい。そして荒唐無稽な陰謀論に、毒されないことを願いたい。

参考書籍

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