初めてのオリエンテーリング大会|アーバンOシリーズin神戸 第4回参加レポート

オーマップ コンパス

 マップケースに入れた地図とコンパスに、容赦なく雨が降り注ぐ。どうやら僕は大雨のレースに縁があるらしい。2017年の六甲縦走キャノンボールランや、2018年のクロスカントリーレースでは、ずぶぬれになりながら六甲山を駆け抜けた。

 今回は、神戸市立森林植物園で開催された『アーバンOシリーズin神戸第4回』に参加。オリエンテーリング大会は初めてで、競技経験もない。読図トレーニングのために参加しようと考えたのがきっかけだ。

 オリエンテーリングには、山野を走る走力はもちろん、読図・ナビゲーション能力が必要で、走力だけでは戦えないところが魅力である。

 ここでは、オリエンテーリングの基本ルールとその魅力、そして『アーバンOシリーズin神戸 第4回』の参加レポートをご紹介しよう。

目次

オリエンテーリングとは

オリエンテーリング コントロール
コントロール(チェックポイント)

 学校のイベントでチェクカードを片手にポイントを回り、スタンプを押してもらった経験はないだろうか。オリエンテーリングといえば、そのような優しいスポーツのイメージがある。しかし、競技としてのオリエンテーリングは、山野で地図を読みながらマラソン並みのスピードで走るハードなスポーツである。

 スタート直前に配布される地図を読み、定められたコントロール(チェックポイント)を順番に回り、早くゴールした者が勝者だ。その発祥は北欧とされ、軍隊の演習に取り入れられたことが起源とされている。

 山を走る競技にはトレイルランニングがあるが、オリエンテーリングはコースが定められておらず、コース選択は競技者に委ねられている。ここがオリエンテーリングの難しさであり醍醐味であろう。

 日本各地で大会が開催され、世界選手権が国内で開催されることもある。エリートクラスから70代、80代までの年代別クラスや、大会によっては初心者、ファミリークラスなども用意される。生涯スポーツとして、誰でも楽しめるのがオリエンテーリングの良さなのだ。

オリエンテーリングに必要な道具

 オリエンテーリングに使う、いくつかの道具を紹介しよう。道具がいるとはいえ、地図とコンパス、SIカードは大会でレンタルも可能だ。基本的には、動きやすい服装を用意すれば大丈夫である。

地図(O-MAP)

オリエンテーリング (o-map:オーマップ) 
オリエンテーリング専用の地図。

 オリエンテーリングには専用マップ(O-MAP:オーマップ)を使い、スタートの数分前に配布される。オーマップは市区町村の発行する地形図をベースに作成された地図で、植生や車道・徒歩道などが美しく色分けされている。

地形図
縮尺1:10000
の森林植物園周辺の地形図。オーマップは、より詳細に地形が読めるように作成されているのが分かる。

 地形図とは若干表記が異なり、大きな木やモニュメントなども記されているのが特長だ。

コンパス

コンパス ベースプレートコンパス
シルバのベースプレートコンパス。

 コンパスにもさまざまな種類があるが、登山に使われる『ベースプレートコンパス』が人気である。プレートに記された進行線や角度メモリー機能を駆使し、目標物に向かって『直進』するのに向いている。雪山や視界が不明瞭な場合の登山には必要不可欠だ。

 対して、オリエンテーリング競技者に人気なのが「サムコンパス」や「リストコンパス」である。親指や手首に装着し、地図を持ちながら常に方角を確認できる。整置による現在地の特定がやりやすく、走りながらでも素早く方角を確認できるのが特長だ。コンパスについて知りたい人は『登山地図と使いたいコンパスおすすめ6選|失敗しない登山用コンパスの選び方』を参考に。

SIカード(電子カード)

オリエンテーリング SIカード

 オリエンテーリング独特の道具に、SIカード(電子カード)がある。

オリエンテーリング SIカード
コントロールでSIカードを差し込む。

 指につけて走り、コントロールにかざすことで通過記録を保存できる。ゴール後にSIカードを読み取り、得点やタイムを計算するのだ。交通系ICカードで改札をくぐる様子をイメージしてもらうと分かりやすいだろう。

服装

 山野を走るのに適したウエアを選ぼう。肌寒い季節はウインドシェルなどがあると安心だ。

ウエア

 基本的には動きやすい格好であればOK。オリエンテーリング専用ウエアもあるが、私はトレイルランニングウエアで参加した。山中でのスポーツなので、長袖・長ズボンが推奨されている。

シューズ

 ロードランニング用のシューズでも走れないことはないが、グリップ力に優れるトレイルランニングシューズが適しているだろう。防水機能があれば、なお安心である。

小物

 他には、制限時間を計るための時計や、シューズへの小石を防ぐゲイター、サングラスなどを必要に応じて用意しよう。

オリエンテーリングのルール

 オリエンテーリングにはさまざまな種目があるが、代表的なもはは以下のふたつである。

ポイントオリエンテーリング

 ポイントオリエンテーリングは、コントロール(チェックポイント)を定められた順番で回り、より早いタイムでゴールした者が勝者である。

スコアオリエンテーリング

 スコアオリエンテーリングは、制限時間内に得点つきのコントロールを回り、より高得点を獲得したものが勝者である。同点の場合は早くゴールしたものが勝ち、制限時間を過ぎるごとに減点されてしまう。
 アーバンOシリーズin神戸 第4回では、スコアオリエンテーリングが開催された。

アーバンOシリーズin神戸 第4回参加レポート

 森林植物園の管理事務所前には、すでに数組の参加者が集まっていた。午前中に『地図とコンパスの使い方講習』が開催され、無料で受講できるのだ。当時、読図は完全に独学のため、これは是非とも参加しておきたかった。

地図読み講習会に参加

オリエンテーリング オーマップ o-map 
オーマップを読みながら簡易コースを回る。

 オリエンテーリング協会の人に地図の基本を教わり『整置』をしながら実際に簡易コースを回る。オーマップは、使い慣れた登山地図や地形図とは表記が多少異なり、縮尺は1:5000、等高線間隔は2.5mと、詳細に地形を読み取れる。
 植生や走行難易度によって色分けされた地図は、カラフルでなんとも美しい。『詳細な地形を読める』ことに特化した機能美を感じる。

オリエンテーリング大会の開始

神戸市立森林植物園 アーバンOシリーズin神戸 オリエンテーリング

 ひととおりの説明を受け、午後からはいよいよオリエンテーリング大会だ。あいにくの天候の中、競技経験者から家族連れまで約20名が集まっている。
 しだいに雨が予想以上に激しくなってきた。スタート時間が早まり地図が配布される。スタートまでの10分間で地図を読み込み、計画を立てる。この時間で勝負が決まると言っても過言ではないだろう。

 競技経験者をみると、マラソンやトレイルランニングではなじみのないウエアを着用していた。オリエンテーリング専用のものだ。左手につけた競技用サムコンパスがキラリと光っている。

 ベテランの方に基本の回り方を訪ねてみた。
「まずはゴールから離れた高得点のコントロールを目指して、時間制限を考えながら、ゴール付近のコントロールを回るといいよ」

 ——なるほど。
 今回の種目はスコアオリエンテーリングである。ゴールしたタイムではなく、獲得したポイントで勝敗が決まり、制限時間を30秒超えるごとに大きく減点されてしまうのだ。全てのコントロールを回ろうとして、制限時間を過ぎると元も子もない。必ず時間内にゴールしよう。

合図とともに全力疾走!

神戸市立森林植物園 アーバンOシリーズin神戸 オリエンテーリング
スタート直前。緊張の一瞬だ。

 スタートの合図とともに一斉にダッシュ。早い! まるで100m走かのごとく走り出す。これがもしマラソンなら明らかなオーバーペースだ。コントロールに向かって一直線に駆け抜ける。
 最初のコントールまでは皆だいたい同じルートを走り、途中からばらけて別々のコースへと向かった。これがオリエンテーリングの醍醐味である。
 どこを走るかは競技者に委ねられており、それぞれのプランに合わせてコントロールを目指すのだ。

 今回は初心者でも楽しめる優しいコースであるが、コントロールは道からは見えない、奥まった場所に設置されている。地図をよく読まないと簡単には見つけられなかった。

 日頃から地図に親しみ、地図読みは慣れていると思っていたのに、序盤はミスを連発。まさかの現在地を見失ってしまった。レースの高揚感と制限時間からの焦り、そしてふり注ぐ大雨。冷静さを失うといとも簡単にロストしてしまう。

 呼吸を整えて、地図読みの基本、整置を行う。道に迷った時の最良の判断は、迷った場所まで引き返すことだ。ロストした場所まで戻りコントロールを無事に発見。また次のコントールまで走り出す。
 慣れてくると、走りながら整置し、次の計画を考え、斜面を駆け上がれる。

「これは面白い……!」
 中盤にはすっかりオリエンテーリングの魅力にとりつかれていた。

読図能力がものをいう

 高得点のコントールをおおかた回り、残り時間は20分と少し。
 「そろそろゴール付近のコントロールへと向かおう」

 途中、競技経験者の人と同じコントロールを目指して一緒に走った。それにしても早かったが、単に走りが早いだけではない。走力だけならついていけたのだ。
 しかし、私が遠回りしているうちに経験者は最適なルートを走り、いつの間にか私の前にいる。
 ナビゲーション能力に大きな差を感じた。これは一朝一夕で身につくものではないだろう。地図を読み、現場の風景と照らし合わせる。この反復練習のたまものである。

 約50分経過し、おおかたのコントールを回りフィニッシュ。結果は800点満点中、660点であった。初めてにしてはまずまずか。スコアオリエンテーリングは高得点を出したものが勝者である。

 10分も前にゴールしてしまったが、その時間があれば、あと一カ所、二カ所は回れたかもしれない。かといって制限時間との兼ね合いもあるので難しい。走力だけは戦えず、読図・ナビゲーション能力との総合力が必要だ。

山の楽しみにオリエンテーリングが加わった

神戸市立森林植物園 アーバンOシリーズin神戸 オリエンテーリング
雨の中の表彰式。

 表彰式は雨の中で行われ、各部門の優勝者が表彰される。それにしても雨脚がますます強まってきた。

「みなさん風邪をひかないように」

 この言葉で解散し、各々帰路についた。帰りのバスで地図を改めてみてみると、もっと効率よく回れたのではないかと悔やまれる。

「これは次回も参加しなければ」

 登山やトレイルランニングに加え、新たな山の楽しみが加わった充実した1日であった。

地図の読み方・使い方を知りたい人はこちらの記事も参考に