山行を楽しんだ後、登山道具を放置していないだろうか。素晴らしい性能を持った登山道具も、手入れをしなければ真価を発揮できないばかりか、寿命も縮んでしまう。
だが、「下手なメンテナンスではかえって道具を傷めてしまいそう」という人も少なくないだろう。
ここでは、自宅で簡単にできる登山道具のお手入れ方法をご紹介したい。
目次
手入れの基本は汚れを落とし、乾燥させること

登山道具の手入れの基本は、なるべく早く汚れを落とし、よく乾燥させることである。下山後に毎回、ここで紹介する簡単な手入れでよいので励行したい。
道具を劣化させる大きな要因は、汚れと湿気のふたつである。表面に泥が付着したまま放置すると素材が劣化してしまう。ようするに、広い意味で錆びついてしまうのだ。
ウエアやシューズにこもった湿気は、カビや雑菌の発生原因となる。雑菌は素材を劣化させるし、嫌な臭いの原因にもなる。特に、登山靴のクッションに使われるウレタンは、湿気により加水分解を起こすから注意したい。
いずれにせよ、下山後は道具を放置せず速やかにメンテナンスを行いたい。
レインウエア
レインウエアの使用後は、洗濯で汚れを落とし、日光に当てることで撥水性を回復させよう。
レインウエアの防水透湿素材は、表面の撥水性があってこそ性能を発揮する。使用回数を重ねると、雨は通さないものの透湿性が落ちたように感じることがあるだろう。
それは表面の撥水性が低下し、生地にまとわりついた水滴が蒸気の通り道を塞いでしまうからだ。これを防ぐには、表面の汚れを落とし、撥水性を回復させたい。手順は簡単である。
レインウエアのお手入れ手順

まず、洗濯表示を確認しよう。ほとんどのレインウエアは洗濯機が使用できるが、そうでないものは手洗いで対応する。

すべてのファスナーやボタンを止め、洗濯ネットに入れる。あとは洗濯機で洗うだけだ。ただし、脱水はかけないこと。防水ウエアを脱水にかけると、洗濯機の故障の原因になりかねないからだ。

洗濯を終えたら陰干しでよく乾燥させる。日光に当てると撥水性が回復すると述べたが、直射日光は素材を劣化させるため避けよう。
乾燥機やアイロンが使えるものは、熱を加えることで撥水力が回復する。洗濯表示を確認してから行いたい。しっかり乾燥させたら、スッタフ袋には収納せずに風通しのいい場所に保管しよう。
登山靴

登山靴もレインウエアと同様、汚れを落としてよく乾燥させる。

帰宅したらインソールを外して湿気を逃そう。靴ブラシで汚れを落とし、頑固な汚れは丸洗いで対応する。日陰で乾燥させれば完了だ。詳しくは下記を参考に。
元靴職人が教える、登山靴を最良に保つお手入れの方法
登山靴を良い状態に保つには、日頃の手入れが欠かせない。 登山靴は手入れを怠ると劣化が進み、本来の性能を発揮できなくなる。山中で靴ひもが切れたり底が剥がれたりすると、命の危険にさらされることもあるだろう。 とはいえ、登山靴の手入れは難しそうで、履いたまま放置している人も多いかもしれない。登山靴はどのように手入れすればいいだろうか。 …
バックパック

バックパックもこまめなメンテナンスが欠かせない。バックパックの傷みやすい箇所は、背面パネル、ショルダーハーネス、ボトムカバーなど。
通常は湿らした布巾で汚れを拭き取れば十分であるが、汚れが蓄積されている場合は浴槽などで丸洗いしよう。

このとき、ファスナーやバックルに傷みがないかも確認したい。もし傷んだパーツがある場合は次回の山行までに交換しておこう。

丸洗いの後は陰干しでよく乾燥させる。その後は風通しのよい場所で、吊るして保管するのが理想である。
まとめ
登山道具の性能を最大に発揮するためには、適切なメンテナンスが欠かせない。簡単な手入れでいいから、山行後は早めに汚れを落とし、よく乾燥させよう。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言により、山に行けなくなってしまった。こんなときこそ道具のメンテナンスだ。
道具は使わずに放置されると傷みやすい。この記事を参考に、愛用の山道具を点検してみてはいかがだろう。