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脱プラスチック、ゼロ・ウェイストの観点から考える、万年筆のメリットや使い方|使い捨てボールペンの代替品

2021年1月29日

 2019年に初めての万年筆を手にしてから、僕はボールペンを使わなくなった。万年筆は筆圧がいらず、ノートをたくさん取っても手が疲れない。手書きすることで頭の中のモヤモヤがすっきりとまとまる。

 デジタル全盛の時代、教科書のデジタル化が議論される現代においても、アナログなノートと万年筆は僕の必需品であり、人生のコンパスだ。

 万年筆は「末長く使える筆」という意味で名付けられた通り(諸説あり)、大事に使えば一生ものである。これは脱プラスチック、ゼロ・ウェイスト(ごみ・無駄・浪費を減らす活動)の観点から見ても、やはり優れた筆記具なのだ。

 ここでは使い捨てボールペンの代替品として、繰り返し使い続けることができる、万年筆の魅力や使い方についてご紹介したい。

目次

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使い捨てられるボールペン

 仕事や日常に、どのような筆記具をお使いだろうか。デスク周辺を一度チェックしてみてほしい。いつのまにか本数が増え、同じようなボールペンが何本もストックされてはいないだろうか。それらのボールペンは、きちんと使えるだろうか。あるいは中途半端に使用され、壊れて書けないものもあるかもしれない。

 株式会社キーエンスによると、2018年に日本で国内・海外向けに出荷された「ペン類(油性・水性ボールペン・マーキングペン・シャープペンシル)」の合計本数は27億2,925万本であり、そのうちボールペンが約16億5,947万本であったという。

 インターワイヤード株式会社が2009年に実施した調査によると、約7割が199円以下のボールペンを愛用し、主婦の4割が「100円ショップ」でボールペンを購入していることが判明している。
 199円以下のボールペン、つまり使い捨てボールペンがもっとも愛用されているということ。では、使い終えたボールペンはどこへ行くのだろう。

 ボールペンは各種プラスチックをはじめ複合素材から成るため、リサイクルが難しい。その廃棄方法は自治体によるが、僕が住む大阪市では、ボールペンは資源化可能物ではない。分別は普通ごみであり、焼却処分されている。
 
 プラスチックの主な原料は石油だ。製造過程でも焼却過程でも温室効果ガスを排出する。焼却を終えた灰にはプラスチックの毒素が残留しているが、ほとんどがそのまま埋め立てられている。これらリサイクルやごみの分別については「持続可能な暮らし」カテゴリーの記事を参考にしてほしい。

脱プラスチック、ゼロ・ウェイストの観点から見る万年筆

万年筆 使い方

 脱プラスチックといっても、多くの万年筆の軸(本体)は、残念ながらプラスチック製である。僕の愛用する「#3776 センチュリー」にはAS(アクリロ二トリルスチレン)樹脂という汎用プラスチックが使用され、万年筆そのものはプラスチック・フリーではない。

 しかし冒頭で述べたように、万年筆は「末長く使える筆」であり、大切に使えば一生ものの筆記具だ。耐久性が高く、リユース(繰り返し使う)度の高い筆記具である。

 使い捨てではない、繰り返し使える筆記具として、『ゼロ・ウェイスト・ホーム ベア・ジョンソン(著)』や『プラスチック・フリー生活  シャンタル・プラモンドン (著) ジェイ・シンハ (著)』などの専門家たちが、筆記具に万年筆を推奨している。

 世界中で毎年4億トン近くのプラスチックが作られ、その多くが使い捨て製品であることを考えると、ボールペンの代わりに万年筆を使うことで、使い捨てプラスチックの削減に貢献できるのではないだろうか。

ごみが出ず、ランニングコストに優れたコンバーター式万年筆

万年筆 使い方

 万年筆にはカートリッジ式、コンバーター式、吸引式の3種類があるが、インク瓶からインクを補充するコンバーター式をおすすめしたい。ひとつはランニングコストが安く”カートリッジ”というごみも出さないから。もうひとつは、インクの吸引機構が故障しても、コンバーターを交換すれば済むからである。

 万年筆のランニングコストは、万年筆の個性やインクの種類、使用頻度により異なる。僕の場合、ノートや手帳に毎日メモをとり、1〜2週間に一度の頻度で吸引し、1年前に購入したインクがまだ残っていることを考えると、ランニングコストは相当いいといえるだろう。

 コンバーター式を選べば、豊富な数のインクから好みのものを選ぶ楽しみもある。
 一般的な染料インクにはさまざまな色があり、万年筆独特の濃淡のある字を書ける。顔料インクは耐水性、耐久性が高く、文字をしっかり保存したい場合、あるいは、ぬれる可能性のあるハガキの宛名書きなどにもいい。

 良質な万年筆と好みのインクを選び、丁寧に使えば一生もの。安価なものなら数千円、高性能な国産万年筆なら1万円〜3万円で手に入る。生涯使うものとして考えれば、決して高い買い物ではないのである。

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万年筆の使い方

 万年筆を初めて使う人は「なんだか難しそう」と尻込みするかもしれないが、実はとても簡単に扱える。ここでは、コンバーター式のインク吸引方法を解説する。

  1. 万年筆を分解する
  2. コンバーターをセットする
  3. インク瓶から吸入する
  4. 余分なインクを拭き取る
万年筆 使い方

 まず万年筆を分解する。

万年筆 使い方

 万年筆に合ったコンバーターを用意し、セットしよう。

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 コンバーターをセットした万年筆をインク瓶の奥までドボンとつける。このとき、ペン先だけを浸しても吸引できない。余分なインクは後で拭き取るので気にしないこと。

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 コンバーターのつまみを回して、インクを吸い上げよう。

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 余分なインクを拭き取り、組み立てて完了だ。万年筆のインクの入れ方やメンテナンス方法は以下の記事も参考に。

おすすめの国産万年筆 #3776 センチュリー

プラチナ万年筆 #3776 センチュリー

 どうだろう、万年筆に興味が湧いてきただろうか。そんなあなたにおすすめの万年筆をご紹介したい。僕の愛用品「プラチナ万年筆 #3776 センチュリー」である。

 #3776、この名称は、日本最高峰の品質を目指し、富士山の標高を表わす数字にちなんで付けられた。昭和53年、作家で万年筆コレクターの故梅田晴夫氏が中心とする研究グループが開発した万年筆に改良を加え、日本を代表する、美しい日本文字のための万年筆として誕生した。言わば国産万年筆の最高峰である。(参考:プラチナ万年筆)

 その万年筆が定価1万3,000円(税抜き)で手に入る。万年筆には6桁ごえの高級モデルも珍しくないが、飾ったり眺めたり、あるいはステータスシンボルとしてではなく、実用の道具として考えた場合、このお手頃価格がなによりうれしい。使い心地も申し分ない。しかも万年筆の弱点を見事に解決しているのだ。

万年筆の弱点を克服! スリップシール機構

 万年筆は使わずに放置するとインクが機構の中で固まり、最悪、メーカー修理送りとなる。この泣き所を、「スリップシール機構」をキャップに組み込むことで、プラチナ万年筆は見事に解決した。

 スリップシール機構は2年間放置してもインクが乾ききることがない。だから乾燥しやすい顔料インクだって問題なく使える。
 万年筆を初めて手にしようとしていた当時、万年筆の扱いに慣れていない僕にとってこの機構が大変心強かった。なにせ、少々メンテナンスを怠っても故障しないのである。#3776 センチュリーのレビューについては、こちらの記事も参考にしてほしい。

万年筆を使ってみよう

 もし、毎年大量のボールペンを使い捨てており、そのことに少しでも疑問を感じるのなら、ぜひ万年筆を使ってみよう。その命名どおり「末長く使える筆」は一生ものであり、インク瓶から吸引することでランニングコストも安く、ごみも出ない。使い慣れれば筆圧もいらず、さらさらと筆記できる万年筆の、きっととりこになるだろう。
 あっ、ひとつだけご忠告を。くれぐれも”沼”にはまらないように。使いもしない万年筆をたくさん所持していては、何のためのボールペンの代替品なのか分からない。

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Takashi

元靴メーカー勤務の職人、現在はWEBライターとしてアウトドア系メディアで執筆しています。靴業界での10年以上の経験、趣味のアウトドア経験を活かして書きます。大阪府山岳連盟「青雲会」所属・読図ナヴィゲーションスキル検定「シルバーレベル」・2018年「狩猟免許」取得・ランサーズ「認定ランサー」・フルマラソンベスト3時間29分。

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