ミシンを味方につけて衣類・布製品の寿命を延ばす、使い切る

 我が家の着古した衣類は、ずいぶん前からそのまま捨てるようなことはしていない。押し入れにある「古着コーナー」に集められ、次の出番を待っている。古着として売れないものは雑巾として再利用し、最後まで使い切るためだ。

 今回は穴の開きかけたタオルを雑巾として再利用する方法をご紹介したい……とはいえ、わざわざ僕が雑巾の作り方を解説する必要などない。一定の人たちにとってはごく当たり前のことだからだ。では、なぜ改めて紹介するのか。

 アパレル産業の環境負荷は小さくない。衣類や布製品を修理し、リメイクし、最後まで使うことで地球環境に貢献できる。そのことを知ってほしいからだ。

目次

古タオルを使った雑巾の作り方

ミシン 雑巾

 穴が開きかけたタオルや首まわりがヨレヨレになったTシャツはないだろうか? もしあるのなら、そのまま捨てるなんてもったいない! せめて雑巾にして最後まで使いきろう。

 ここではハンドタオル1枚から2枚の雑巾を作ってみた。要はタオルを半分に切って縫い合わせるだけだから、とっても簡単である。

ミシン 雑巾

 まずタオルを半分に切る。僕はミシンを走らせやすいように太い部分を切り取るが、面倒な人はもちろんそのまま縫ってもいい。

ミシン 雑巾

 アイロンで形を整え、ずれないようにまち針で留める。

 あとは縫うだけだ。雑巾だから大雑把な縫い方で問題ないが、バッテンを上手に縫うには下書きしておくとよいだろう。

ミシン 雑巾
ミシン 雑巾

 こうしてできた雑巾は家中の掃除に活躍する。さっそくトイレの床をピカピカを磨いてみた。水まわりがきれいだと気持ちが晴々するねぇ。それに雑巾があれば使い捨ての掃除シートを買い続ける必要はなく、お財布にも優しいのだ。

 ところで、冒頭で述べたように僕が知ってほしいのは雑巾の縫い方ではない。アパレル産業が一体どれぐらい環境へ負荷をかけているのか、ご存知だろうか?

アパレル産業が及ぼす環境への負担

 国連広報センターによると、アパレル産業の環境負荷、とりわけ気候変動問題に及ぼす影響は、決して小さくないという。

・衣料品と履物の製造は、全世界の温室効果ガス排出量の10%を占めています
・ジーンズ1本を作るためには、約7,500リットルの水が必要になりますが、これは平均的な人が7年かけて飲む水の量に相当します
・一般的に、人が買う衣料品の数は15年前と比較して60%増加している一方で、平均的な着用期間は半分に減っています  

引用:国連広報センター

 上記に加え、日本は1人当たりの衣服消費に伴うCO₂排出量が世界平均(約50kg)の約5倍で、最も多い国(約270kg)だという。2000年代半ばごろから流行りはじめた「ファストファッション」の影響が見え隠れする。

 このようなアパレル産業の環境負荷に目を背けず、真摯に取り組み、声を上げてきた会社がある。アウトドア衣料品大手パタゴニア(Patagonia)は、創業して間もないまだ小さな会社だったころから、持続不可能な消費に警鐘を鳴らし続けてきたのだ。

パタゴニアの取り組み|衣類を修理して長く使う

 1970年、パタゴニアの前身である「シュイナード・イクイップメント」の直営店が、カリフォリア州ベンチュラにオープンした。クライマーであり、創業者のイヴォン・シュイナードが手がけたクライミング用品のメーカーである。当時はハーケンの製造販売が主な収益源だった。

 ハーケンとはロッククライミングに使う道具のひとつで、岩にハンマーで打ち込む安全金具のことである。クライミングに欠かせない道具である一方、岩に打ち込むため回収ができず、自然の岩を割り、傷つけ、害をなしてしまうという側面がある。自然を味わうためのアクティビティーで、かえって自然を傷つけてしまう——イヴォン・シュイナードは環境への配慮のために、ハーケンの製造販売を中止した。

 パタゴニアは創業当時から環境への配慮を忘れなかった。1994年には全てのコットン製品をオーガニックコットンへの切り替えを決断し、1996年以降のパタゴニア製品のコットンは、全てオーガニックコットンだ。2011年11月25日、ブラックフライデーのニューヨークタイムスに「DON’T BUY THIS JACKET(このジャケットを買わないで)」という広告を出稿し、パタゴニアは環境に投資する自分たちでさえも”汚染者”であるとし、消費についてもう一度考えてほしいと訴えた。

 パタゴニアによると、衣類の寿命をわずか9か月間伸ばすことにより、炭素排出、水の使用、そして廃棄物のフットプリント(人間活動が環境に与える負荷)を20%〜30%も削減できるという。

 同社が展開するWorn Wear プログラムでは「新品よりもずっといい」をキャッチコピーに、修理サービスやワークショップを開催し、衣類の簡単なメンテナンス方法や修理方法を公式サイトに掲載している。ぜひ確認してみてほしい。

 パタゴニアの活動を知るにつれ、これまで、ちょっと破れた、ちょっと擦り切れたぐらいで衣類を買い換えていた自分が恥ずかしくなった。あぁ、なんてもったいないことを!

 だいたい、毎シーズン毎シーズン服を買い換える必要がどこにあるというのだろうか? クローゼットに洋服があふれているのに「着るものがない」なんてバカな話はないでしょう? こんな、資源と、エネルギーと、お金の無駄遣いは、僕はもう辞めた。

地球のために個人ができること|消費を減らす

 タオルやTシャツから雑巾を作って最後まで使う。こんな我が家のささやかな取り組みやパタゴニアの取り組み、僕はそれを紹介したにすぎない。本当は僕の言葉ではなく、権威の声を聞いてほしい。環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの言葉を借りると「僕たちの家(地球)は火事」なのだ。

 アメリカ合衆国でバイデン大統領が就任した。その当日にパリ協定に復帰するなど、バイデン政権は環境問題に積極的だ。日本もそれに同調するように2050年までのカーボン・ニュートラルを宣言し、二酸化炭素排出削減に向けた取り組みに——ようやく——本腰が入った。この、世界の流れに乗りおくれてはならない。

 ここでご紹介したレベルの針仕事は生活のための基本スキルであって、大袈裟にいえば人生を生き抜くためのサバイバルテクニックだ。男も女も関係ない。廉価な家庭用ミシンや中古ミシンでいいから、1台用意しよう。あるいは手縫いのソーイングキットでも。

 物を修理して製品の寿命を延ばす、別の形で最後まで使いきる。このささやかな行動が地球を救うことにつながるのである。このブログを書きながら、修理して使い続けることが「かっこいい」世の中になることを、僕は願ってやまないのである。